(※写真はイメージです/PIXTA)

「争族」と呼ばれる相続争い。巻き込まれてしまった場合、どう対応すればよいのか。また、これから相続対策をする場合にも、「争族」のリアルと転ばぬ先の戦略をぜひとも知っておきたい。本連載では、弁護士 依田渓一氏の著書『負けない相続』「物語編」の3つのエピソードの中から「地主である父の遺言書に従えば何ももらえなくなってしまう、自称バンドマンの純二」を主人公としたストーリー『遅咲きのスミレ』と、その解説を一部抜粋し、紹介する。

『お前は根は優しい良い子だ。父さんは信じているよ』

冴羽は数日後、純二に実印捺印済みの委任状と印鑑登録証明書を提出させると、公証役場で達郎の公正証書遺言の謄本*3を取得した。

 

公正証書遺言の場合、相続発生後であれば相続人は、実印と印鑑登録証明書、そして亡くなった方の戸籍謄本や相続人自身の戸籍謄本があれば、公正証書遺言の謄本を取得できるのだ。

 

弁護士は職権で戸籍謄本を取得できるので、依頼者である相続人から実印捺印済みの委任状と印鑑登録証明書をもらっていれば、相続人の弁護士も公正証書遺言の謄本を取得することができる。冴羽は、秀一が行政書士の資格を持っていることから、達郎の遺言は公正証書で作成されていると睨んでいた。そして、その予想は的中したのである。

 

(途中略)

(以降略)

 

*3:公正証書遺言とは、公証役場で公証人が作成する遺言のことである。遺言の原本は公証役場が保管するが、相続人はその遺言の謄本(原本の記載内容全部の写し)を公証役場から取得することができる。

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負けない相続

負けない相続

依田 渓一

中央経済社

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