(※写真はイメージです/PIXTA)

経営者であれば、いずれ考えなければならない「後継者問題」。日本では後継者不足による倒産が相次ぎ、なかには「事業承継の失敗」でトラブルになった結果、倒産にまで至ってしまった企業も少なくありません。本記事では、相続に詳しい税理士兼公認会計士の小形剛央氏が、あるリフォーム会社の事例とともに「承継準備不足」が引き起こす悲劇をみていきます。

承継準備に切迫感がなく、気づいたら「八方塞がり」に

私の経験上、事業承継に対する経営者の態度は大きく2つに分かれます。ひとつは「やる気がない」というパターンで、「事業承継に対する切迫感がない」ともいえます。

 

経営者として事業承継を考え始める時期として一般的なのは、60歳や70歳、人によっては80歳を過ぎてからです。歳をとって体力が低下したり病を患ったりといったことがきっかけで、「そろそろ会社の今後を決めなければ……」と、重い腰を上げ始めるようです。この場合、金銭的に余裕があり、少なくとも自分と家族の将来はお金に困らない状況の経営者が多いように見受けられます。

 

ここですんなりリタイアすれば、悠々自適な老後を楽しめるかもしれません。しかし、あえてリスクを負って新しいことに取り組むというのは、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかることです。

 

経営者自身もそのことを重々理解しているために、結果として「やって失敗するなら、やらないほうがいい」と、および腰になってしまうわけです。

 

このタイプの経営者は、いざ事業承継することになっても前のめりになれず、「まだ準備しなくてもいいだろう」「後継者がなんとかしてくれるだろう」「周りがサポートしてくれるだろう」という、他人任せのマインドが根づいているようです。

 

そのため、気づいたときには経営状況が悪化して手遅れの状態となり、八方塞がりになってしまうことも多々あります。

65歳先代経営者が「急死」…突然承継された息子

属性:建設業(リフォーム)
売上:約3億円
先代経営者:65歳
後継者:35歳(息子)

 

65歳の先代経営者は、35歳の息子さんを後継者にすることを決めていましたが、「年齢的には、まだまだ現役としていけるだろう」と考えていました。もしかすると建設業の場合は、社長の影響力が強くそれで成り立っている会社も多いため、「息子に任せるのは心配」「まだ譲り渡すわけにはいかない」という気持ちがあったのかもしれません。

 

いずれにせよ、従業員も取引先もこの先代経営者を強く信頼していたということもあり、「今すぐ事業承継の準備をしなければ」という切迫した状況ではありませんでした。

 

しかし、先代経営者が急死したことで事態は一変します。後継者である息子さんも、実際に引き継ぐのはまだまだ先のことと考えていましたから、心の準備もできていなかったのです。

 

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※本連載は、小形剛央氏の著書『いきなり事業承継成功読本』(日刊現代、講談社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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