◆問題点3|消費税との「二重課税」の問題がある
さらに、「二重課税」の問題も指摘されています。
すなわち、ガソリン税がガソリン価格に含まれ、さらにそのうえに消費税相当額が上乗せされているという問題です。税金のうえにさらに税金が課されるという状態が生じています。
なお、これは形式的には「二重課税ではない」と強弁することも理論的には不可能ではありません。なぜなら、消費税は「預かり税」ではなく、価格に消費税相当額を上乗せするかどうかは販売業者が自己責任によって決めさせられているにすぎないからです。
しかし、この理屈が通るならば、消費税のインボイス制度で従来の消費税免税事業者について指摘されている「益税」「預かり税」という問題点は、いわれのないウソということになります。
なお、消費税のインボイス制度の問題点については、詳しくは2023年1月18日の記事「『どうするインボイス制度』事業主の8割が総スカンで制度崩壊の足音迫る!?」をご覧ください。
いずれにしても、「ガソリン価格(うちガソリン税1リットル53.8円)」に消費税相当額を上乗せして販売されている以上は、二重課税だという批判は免れません。
EVについては「走行距離課税」の問題も
なお付言すると、ガソリン税をめぐる問題は、一見無関係なEV(電気自動車)にも飛び火しています。
EVについて、2022年10月に鈴木財務大臣が参議院予算委員会でいわゆる「走行距離課税」発言を行い、物議を醸しました。
走行距離課税とは、走行した距離に応じて課税するというものです。
鈴木財務大臣が走行距離課税について、将来的に選択肢に入るとした理由は以下の2つです。
・EVにはガソリン税のような燃料に対する課税がない
・EVは車体が重いため、道路の維持補修の負担が増大する
そもそも、ガソリン税自体について疑義が呈されているなか、これは、ガソリン税を当然の前提としている点で、大いに問題があります。
また、「道路の維持補修の負担」をいうならば、「道路特定財源」を廃止してガソリン税を一般財源に組み込んだのは何だったのかということになります。
しかも、「車体が重い」というのであれば、既にその点については「自動車重量税」があります。EVに自動車重量税をかけない理由はないので、そこにガソリン税もかけるとなると、「二重課税」ということになります。
このように、ガソリン税については、もともと、正当性・存在意義、税率について様々な問題が指摘されています。昨今のガソリン価格高騰により、その問題がより浮き彫りになっているといえます。
政府・国会には、小手先の物価対策ではなく、今こそ、高額なガソリン価格のかなりの割合を占めているガソリン税の存在意義自体の見直しに着手することが求められているのです。
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