ガソリン税の3つの問題点
ガソリン税については、以下の3つの問題点が指摘されています。
1. 「一般財源への移行」(2009年)により存在意義が失われている
2. 「一般財源化」の後も高い税率が法的根拠なく引き継がれている
3. 消費税との「二重課税」の問題がある
それぞれについて解説を加えます。
◆問題点1|「一般財源への移行」(2009年)により存在意義が失われている
まず、ガソリン税は、2009年の時点で既にその存在意義が失われているという指摘があります。
これについては、ガソリン税をめぐる歴史的経緯を振り返る必要があります。
ガソリン税と「自動車重量税」はもともと、その使い道が道路の整備・維持管理に限定される「道路特定財源」という位置づけがなされていました。
この位置づけは、道路の整備・維持管理のコストは道路利用者であるドライバーに負担させることが公平であるという趣旨によるものでした。これには、当時、自動車が「ぜいたく品」だったことも大きく影響しています。
しかし、その後、道路の整備が著しく進み、また、自動車が広く普及していきました。その結果、「道路特定財源」における税収が歳出を大幅に上回るようになりました。
本来、その時点で道路特定財源は歴史的役割を終え、不要になったと考えるのが自然です。すなわち、廃止するか、大幅に縮小するという対応をすべきだったのです。
ところが、当時の政府・与党(自民党・公明党)はそれをせず、ガソリン税・自動車重量税を、他の税収と同じ「一般財源」へと移行する方法をとりました。その際の理由は「厳しい財政事情」「環境面への影響の配慮」等でした(国土交通省HP参照)。
また、当時の小泉純一郎首相ら政権幹部は、「道路特定財源が道路族議員の既得権となっている」ということを強調しました。
そうであるならなおさら「廃止」にすべきはずだったのですが、そこを巧みに「一般財源に移行」という方向へ持っていかれた感があります。まさに、小泉行政改革の真骨頂というべきでありましょう。
いわば、多くの人が「道路族議員の既特権けしからん」という論点にとらわれている間に、こっそりとガソリン税の正当性・存在根拠の「すり替え」が行われたことになります。
◆問題点2|「一般財源化」の後も高い税率が法的根拠なく引き継がれている
ガソリン税については、高い税率に法的根拠がないという指摘もされています。
すなわち、現行のガソリン税の税率は、道路特定財源だった当時、道路整備の財源が足りないという理由で、暫定的に引き上げられたまま、ずっと続いているものです。
その後、道路整備が進み、税収が歳出を大きく上回るようになったにもかかわらずです。
しかも、「一般財源化」の後も、特段の法的根拠なく、据え置かれたまま現在に至っています。これは「当分の間税率」と呼んで批判されています。