60歳前で「自主定年退職」した元教授が語る…「イヤなこと」から逃げたら良い人生を送れるワケと「世の中は甘くない」の本当の意味

60歳前で「自主定年退職」した元教授が語る…「イヤなこと」から逃げたら良い人生を送れるワケと「世の中は甘くない」の本当の意味
(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの人が、60代以降の老後の生活について、様々な不安を抱えています。「円安」「インフレ」が顕著な今日ではなおさらです。本記事では、60歳を前に「自主定年退職」した元・大学教授で会計学博士の榊原正幸氏が、著書『60代を自由に生きるための誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話』(PHPビジネス新書)から、快適な老後を迎えるための「お金」と「仕事」への向き合い方について解説します。

人生、逃げたい時には逃げていい

ここまでさんざん、「イヤな仕事に就いてはいけない」ということをお伝えしてきました。しかし、これが意外と無視されてしまうのです。

 

なぜなら、みんなこう思っているからです。

 

「みんな働いて、生活していかなければならないんだから、イヤでもなんでも、仕方ないでしょ! 『イヤだ』なんて言っていられないでしょ」というやつです。

 

「仕事なんてそもそもイヤなものだから、どれでも一緒だよ」という声もよく聞きます。

 

でも、本当にそうでしょうか。そのメンタルのまま一生過ごすことは、果たして幸せなことなのでしょうか。

 

そこで、ぜひご紹介したい考え方があります。それは、「イヤなものからは逃げていい。しかし、代わりにどこかでリスクを取る」という考え方です。

 

ここでもまず、私の経験をお話しします。

 

私が、大学卒業があと1年に迫った大学3年生の終わり頃に考えていたのは、「働くのはイヤだ」ということでした。でも、ニートやフリーターになるのもイヤでした(当時は「ニート・フリーター」という言葉はありませんでした。確か「プー太郎」という言葉が、それに該当したと思います)。

 

そこで苦肉の策で出てきたのが、「大学院進学」でした。働くことから「逃げた」のです。

 

しかし、そこには立ちはだかる壁もありました。大学院に進学するためには、大学院入試の受験勉強(専門科目2科目と英語とドイツ語!)をしなければならないですし、合格したあとも、勉強をしなければなりません。

 

そこで考えたのが、就職と勉強で、どちらが「イヤじゃないか」でした。そして私の場合、就職するくらいなら勉強するほうが「イヤじゃないな」と思ったというわけです。

リスクを取ってでも、イヤじゃないほうにいくべき

当時、私は「Worse or worst, which is relatively better?」(「あまり良くない」と「最悪」、比較的マシなのは、どっち?)と考えました。私の場合、「勉強すること」がWorse(あまり良くない)で、「就職すること」がWorst(最悪)だったのです。

 

繰り返しになりますが、Best(最高)やBetter(わりと良い感じ)の仕事があればそれに越したことはないのですが、そういうものが見つからなくても、relatively better(比較的マシ)なWorse(あまり良くない)でも、それが見つかれば、そっちに進めばいいのです。

 

Worseは、訳すと「あまり良くない」となりますが、そこには「イヤじゃない」という要素も入っているはずです。「イヤじゃない」を直訳すると、Not so badですが、これは意訳すると「いいね!」になるのです。

次ページどう転んでも「イヤな仕事」なら逃げるべきだといえる理由
60代を自由に生きるための誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話

60代を自由に生きるための誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話

榊原 正幸

PHP研究所

「老後の資金が足りるか心配」 「定年後もお金のためにイヤな仕事を続けなくてはならないの?」 「仕事を辞めた後、自分の居場所ってあるんだろうか……」 そんな悩みをまとめて一刀両断! 「お金の不安もなく、好きなこと…

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