60歳前で「自主定年退職」した元教授が語る…「イヤなこと」から逃げたら良い人生を送れるワケと「世の中は甘くない」の本当の意味

60歳前で「自主定年退職」した元教授が語る…「イヤなこと」から逃げたら良い人生を送れるワケと「世の中は甘くない」の本当の意味
(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの人が、60代以降の老後の生活について、様々な不安を抱えています。「円安」「インフレ」が顕著な今日ではなおさらです。本記事では、60歳を前に「自主定年退職」した元・大学教授で会計学博士の榊原正幸氏が、著書『60代を自由に生きるための誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話』(PHPビジネス新書)から、快適な老後を迎えるための「お金」と「仕事」への向き合い方について解説します。

どう転んでも「イヤな仕事」なら逃げるべきだといえる理由

ここで何を言いたいのかというと、「イヤなことからは逃げろ」、そして「その代わり、適切なリスクは取りましょう」ということです。私の場合、「仕事に就く」ことから逃げるために、「勉強をする」というリスクと「教授になれるかどうかはわからないぞ」というリスクを取ったわけです。

 

もし、皆さんが今就いている仕事がどう考えても「イヤな仕事」であり、どうやってもそれを「イヤじゃない仕事」にできないと思うのなら、そこから逃げてしまえばいいのです。

 

それはもちろん、「リスク」を伴います。しかし、「リスクなんて取りたくない」から「イヤなことをしぶしぶやる」という人生は、果たして楽しい人生でしょうか。

 

特に、中高年の方は、人生の残り時間も少なくなる中、そんなことに時間を費やしていいものでしょうか。ぜひ、考え直してみていただきたいのです。

そのリスクには「筋道」が通っているか?

ただし、そのリスクは必ず「適切なリスク」でないといけません。

 

「適切なリスク」というのは、「無謀なリスク」の反意語の位置づけとなる言葉として用いました。「無謀なリスク」はどんな年齢の方でも取るべきではありませんが、特にある程度の年齢を重ねた人は、絶対に取るべきではありません。

 

「適切なリスク」というのは「筋道の通ったリスク」と言い換えることも可能です。私の場合でいうと、今から35年前の時代に、文系で大学院に進学することは「リスク」そのものでした。

 

しかし、それは「筋道の通ったリスク」でした。すなわち、当時はほとんど誰も行かない文系の大学院に進んでしまうのは確かにリスクでしたが、卒業後には大学の教員になるとか、税理士の資格を取るとか、おそまきながらですが在学中に公務員試験を受けるといった「筋道」は通っていたのです。

 

それに対して、きちんとした事業計画もないのにいきなり起業しようとしたり、ただ好きだからというだけでミュージシャンを目指したり、ラーメン屋さんを始めたり。そういったものが「筋道が通っていないリスク」です。

 

先ほど挙げた「退職金を全額投資して大儲け」などもまさに「筋道の通っていないリスク」です。それまでに投資でかなり良好な成果を出し続けてきたというのならいざ知らず、そうでない人がいきなり投資で儲けようとするのは明らかに筋道が通っていません。

 

つまり、

 

「適切にリスクを取る」→良い人生に向かう

 

「リスクを取らない」→平凡な人生に向かう

 

「無謀なリスクを取る」→ドツボな人生に向かう

 

ということです。

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60代を自由に生きるための誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話

60代を自由に生きるための誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話

榊原 正幸

PHP研究所

「老後の資金が足りるか心配」 「定年後もお金のためにイヤな仕事を続けなくてはならないの?」 「仕事を辞めた後、自分の居場所ってあるんだろうか……」 そんな悩みをまとめて一刀両断! 「お金の不安もなく、好きなこと…

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