(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの人が、60代以降の老後の生活について、様々な不安を抱えています。「円安」「インフレ」が顕著な今日ではなおさらです。本記事では、60歳を前に「自主定年退職」した元・大学教授で会計学博士の榊原正幸氏が、著書『60代を自由に生きるための誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話』(PHPビジネス新書)から、快適な老後を迎えるための「お金」と「仕事」への向き合い方について解説します。

「老後に2,000万円足りなくなる」をどう考えるか

2019年6月頃に騒がれた「老後2,000万円問題」を覚えてらっしゃいますでしょうか。

 

それまでにも、「老後には1億円必要」とか、「老後のお金は年金だけで問題ない」とか、いろいろな説が飛び交っていましたが、政府の調査委員会が公式に「多くの家庭において、老後は年金だけでは足りず、2,000万円ほど不足する可能性が高い」という発表をしたことで、大いに物議をかもしました。

 

多くの人は、「老後は年金だけでは足りず、2,000万円も持っていないと生きていけないなんて、聞いてないよ~! 政府はどうしてくれるんだ~!」という反応でしたが、はっきり申しまして、このような意見は愚の骨頂です。

 

老後のお金の問題は、自分で対処しなければならないに決まっているからです。「年金だけで食べていく」ということ自体が夢物語なのです。

 

さらにいえば、そもそも「老後にはお金がいくらいるのか」という問題意識そのものが間違いです。

 

本業を60歳で辞めるのか、もっと早く辞めるのか、逆に65歳まで働くのか、それは個人個人の問題です。お金の算段も各人各様ですし、就労環境もさまざまです。ですから、一概に「何歳で辞めましょう」とか、「老後の資金が○○万円(億円)貯まったら辞めましょう」とか言うことはできません。あまりにも「人それぞれ」だからです。

 

しかし、一つだけ共通して言えることがあります。

 

それは、本業を辞めたあとの「老後も働こう!」ということです。そしてそれは必ず、「イヤじゃない仕事」でなければなりません。

 

老後も「イヤじゃない仕事」をして暮らせば、「年金だけが頼り」というような「ショボくて心細い余生」を過ごさなくてすみます。

 

何より、老後に広がる膨大な時間(ヒマな時間)を有意義に過ごすには、「イヤじゃない仕事」を続けることしかないと心してください。

 

そうすれば、現役時代にも(少なくとも定年や辞め時を意識した時からは)、「一生続けられる『イヤじゃない副業』の準備をする」という問題意識を持って活動できると思うのです。

 

また、そういった意識が芽生えれば、現役時代にも、本業でもできるだけ「イヤじゃない仕事」をしようと心がけるようになります。それが大事なことです。

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60代を自由に生きるための誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話

60代を自由に生きるための誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話

榊原 正幸

PHP研究所

「老後の資金が足りるか心配」 「定年後もお金のためにイヤな仕事を続けなくてはならないの?」 「仕事を辞めた後、自分の居場所ってあるんだろうか……」 そんな悩みをまとめて一刀両断! 「お金の不安もなく、好きなこと…

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