多くの人が、60代以降の老後の生活について、様々な不安を抱えています。「円安」「インフレ」が顕著な今日ではなおさらです。本記事では、60歳を前に「自主定年退職」した元・大学教授で会計学博士の榊原正幸氏が、著書『60代を自由に生きるための誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話』(PHPビジネス新書)から、快適な老後を迎えるための「お金」と「仕事」への向き合い方について解説します。
「国も年金も当てにしない」と決意する
しかしながら、年金は破綻はしませんが、積立金は枯渇するかもしれませんし、人口構成の動態的な動向を考慮すれば、支給額が減額になるのは間違いありません。
簡潔に考えて、「年金を支払う人数が減って、受け取る人数が増える」わけですから、今後、支給額は減額にならざるを得ないのです。
「支給開始の時期が後倒しになる」というのも、生涯通算ベースで考えれば、支給額が減額になるということです。支給開始の時期は、すでに60歳から65歳に後倒しになっていますから、今後も年金の支給開始の時期が後倒しになることは、まず間違いなく起こるでしょう。
ですから、「年金は、あてにしない!」と決意するのです。
そして、今からでも遅くはないので、自分で「賦課方式と積立方式の併用方式」を導入するべきです。
自分で「賦課方式と積立方式の併用方式」を導入するというのは、すなわち、制度的な年金もきちんと支払い(この部分が賦課方式の部分)、それ以外に「自分年金」を創設して、積立方式で、自分で自分の年金基金を作っていくのです。この部分は「自分年金基金」です。積み立てたお金を株式投資で運用するのです。
そうしておかないと、年金制度は破綻しなくても支給額が少なすぎて、「イヤな仕事でもお金のために一生働かなければ生活していけない」といった事態に陥ります。
榊原 正幸
元大学教授
会計学博士・税理士
元・大学教授
会計学博士
税理士
1961年、名古屋市生まれ。名古屋大学経済学部、大学院経済学研究科を経て、同大学経済学部助手。1993年、日本学術振興会特別研究員(PD)となり、その後、渡英して英国レディング大学に入学。帰国後の1997年より東北大学経済学部助教授。2000年、日税研究賞を受賞。2001年、英国レディング大学より博士号(PhD)を授与される。同年、税理士資格を取得。2003年、東北大学大学院経済学研究科教授。2004年4月、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授。2021年3月に退任し、東京・青山を拠点にしてファイナンシャル教育の普及活動を続けている。会計学博士。シリーズ10万部突破の『株式投資「必勝」ゼミ』(PHP研究所)の他、『60歳までに「お金の自由」を手に入れる!』(PHPビジネス新書)、『会計の得する知識と株式投資の必勝法』(税務経理協会)など、著書多数。
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連載60代を自由に生きるための 誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話