ノーリスクで年利8.4%…「年金の繰り下げ受給」の意外な威力と「繰り上げ受給」がおすすめできない納得の理由

ノーリスクで年利8.4%…「年金の繰り下げ受給」の意外な威力と「繰り上げ受給」がおすすめできない納得の理由
(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の不安として挙げられることが多いのが「老後資金」の問題です。しかし、年金や退職金について、正確な金額を把握している人は少ないのではないでしょうか。本記事では、確定拠出年金アナリストで『役所や会社は教えてくれない! 定年と年金 3つの年金と退職金を最大限に受け取る方法』(ART NEXT刊)を監修した大江加代氏が、定年後に活かせる「老後資金」の知識について解説します。

公的年金はノーリスクで最大84%増やせる最強の金融商品!

◆繰り下げ受給は誰でもできる資産運用法

年金を増やすもっとも簡単な方法は、受給開始年齢を繰り下げることです。

 

公的年金は、66歳以降にもらい始めると1ヵ月あたり0.7%増額します。1年繰り下げれば8.4%も受け取り額を増やすことができます。

 

日本は長い間、超低金利時代が続いています。そこで投資ブームが起こっているわけですが、投資は必ず儲かるというものではありません。株や投資信託などは、つねに値下がりや元本割れリスクがあります。

 

ところが、公的年金は、ノーリスクで年利8.4%の運用ができるのです。もちろん、税金や社会保険料の負担が上がるため、手取りベースでは8%というわけにはいきませんが、それでも、これほど安全にお金が増やせる金融商品はほかにないでしょう。

 

もしもあなたが、60歳から公的年金をもらい始めて、退職金を投資で運用して増やそうなどと考えているなら、それはやめたほうがいいです。そのプランだと年金は減額されているし、退職金も投資で減ってしまうかもしれません。

 

だったらむしろ、退職金を取り崩して70歳まで生活し、公的年金を5年遅くもらい始めたほうが確実にお金を増やせます。

 

繰り下げ受給の上限年齢は75歳です。したがって、65歳から10年繰り下げて年金をもらうと、額面ベースで84%も受給額が増えます。

 

[図表3]繰り下げ受給のしくみ

 

◆大切なのはライフプランに合わせた選択

では、めいっぱい繰り下げるのがいいかというと、そうともいえません。

 

大切なのは「自分のライフプランに合わせて制度を活用する」ということです。公的年金の増やし方や受給のタイミングは、個人の事情によってベストな選択肢が変わります。

 

たとえば、厚生年金には「家族手当」のような制度があります。それは「加給年金」というものです。一定の要件を満たす人が65歳になったとき、年下の配偶者が生計維持の状態にあると、約39万円が本人の老齢厚生年金に加算されるのです。

 

加給年金がつくのは、「配偶者が65歳になるまで」と期間が決まっています。繰り下げ待機中に配偶者が65歳になった場合は一切支給されません。

 

もっとも、この加給年金は老齢厚生年金にリンクします。厚生年金は繰り下げせず、基礎年金だけ繰り下げるといったもらい方にすれば加給年金は消滅しません。これも、夫婦の年の差がどれだけ離れているかで、受け取りプランが変わってくるでしょう。

 

 

大江 加代

株式会社オフィス・リベルタス

代表取締役

 

役所や会社は教えてくれない! 定年と年金 3つの年金と退職金を最大限に受け取る方法

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大江 加代

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