「ふるさと納税」で自治体の負担が「3,851億円・経費率46.4%」のお粗末…「中抜き業者だけウハウハ」の呆れたワケ

「ふるさと納税」で自治体の負担が「3,851億円・経費率46.4%」のお粗末…「中抜き業者だけウハウハ」の呆れたワケ
(※画像はイメージです/PIXTA)

2022年分の確定申告期間が2月16日からスタートしました。多くの人が「返礼品」目当てで利用する「ふるさと納税」も、確定申告の対象となることがあります。しかし、自治体が負担する経費率が高く、2021年度の経費総額は3,851億円、経費率46.4%と(総務省発表資料)、寄付額の半分近くにのぼるという問題が露呈しています。これに限らずふるさと納税はきわめて問題の多い制度です。本記事で解説します。

ふるさと納税のしくみ

はじめに、ふるさと納税のしくみについて簡単におさらいしておきます。

 

ふるさと納税は、どこでも任意の地方自治体(都道府県、市区町村)に「寄付」を行った場合に、寄付金額から2,000円を差し引いた額が、支払った税金から返ってくるというものです(「税額控除」または「還付」)。

 

「ふるさと納税」で税金を取り戻す手続きは「確定申告」と「ワンストップ特例」があります

 

【「確定申告」を選んだ場合】

・所得税:「寄付額-2,000円」×所得税率の額(A)が返ってくる(還付)

・住民税:翌年支払う住民税の額から「寄付額-2,000円-A」が差し引かれる(税額控除)

 

【「ワンストップ特例」を選んだ場合】

・所得税:控除なし

・住民税:翌年支払う住民税の額から「寄付額-2,000円」が差し引かれる(税額控除)

 

多くの自治体は「返礼品」を送ってくれるので、ふるさと納税をする人は、実質的に、2,000円のみの自己負担で「返礼品」を手に入れることができます。

 

たとえば、九州のとある自治体に「5万円」を寄付し、返礼品として高級魚クエ1尾(小型、市場価格2万円相当)を受け取った場合、市場価格2万円-自己負担額2,000円=1万8,000円分だけ得したことになります(【図表1】)。

 

【図表1】「自己負担額2,000円」で「2万円相当のクエ(小)1尾」を受け取る

 

下世話な表現をすれば、「エビでタイを釣る」ならぬ「2,000円で2万円相当のクエを釣る」ことができるということです。

ふるさと納税の5つの問題点

しかし、ふるさと納税には以下の5つの問題点が指摘されます。

 

【ふるさと納税の問題点】

1. 全地方自治体のトータルでの税収が実質的に減る

2. 居住する自治体の行政サービスの質の低下・削減につながるおそれがある

3. 国に対し「増税」のかっこうの口実を与えるおそれがある

4. 自治体の魅力により格差が生じる

5. 高額所得者ほど有利な制度になっている

 

それぞれについて解説を加えます。

 

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