老後の不安とは、突き詰めていけば「お金の問題」に他なりません。長生きは喜ばしい反面、それだけ生活費がかかることも事実です。本連載では、資産形成のプロでありシニア・プライベートバンカーの濵島成士郎氏が、著書である『老後の不安がなくなる50歳からのお金の増やし方』(三笠書房)から、老後の資産形成を行うコツについて解説します。
投資の大きなコストとなる「税金」
投資の基本原則3|低コスト
コストは資産形成の足を引っ張ります。資産(金融商品)を購入する時の手数料や内包されている手数料、税金などは、「確実に」資産形成の重荷になるのです。
仮に、運用管理費用(投資信託を運用・管理していくのにかかる費用)が年率0.1%の投資信託Aと、運用管理費用が年率1.5%の投資信託Bに、それぞれ毎月5万円、25年間積み立てたとします。
利回りが双方とも年7.0%と仮定すると、運用管理費用の合計と費用控除後の資産評価額は次の通りとなります。
毎月の積み立て金額と利回りが同じなのに、運用管理費用の違いによって、2つの資産評価額には、671万円もの大差がついてしまうのです。
そして、もう1つ大きなコストとしては「税金」があります。
投資信託や株式で資産形成に取り組み、十分な利益が出て売却した場合、利益に対して20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)の税金がかかります。また、投資信託の分配金や株式の配当金に対しても20.315%の税金がかかります。
でも、もし税金がかからない仕組みがあれば、より効率的な資産形成ができることになります。その仕組みこそが、「iDeCo」と「NISA」です。iDeCoとNISAについては、後日、詳しくお伝えします。
「長期・分散・低コスト」―この投資の基本原則は、呪文のように唱えて、しっかり覚えておいてください。
濵島 成士郎
株式会社WealthLead
代表取締役
株式会社WealthLead
代表取締役
シニア・プライベートバンカー
1965年神戸市生まれ、千葉県松戸市出身。小学2年生から國學院高校時代までは剣道、信州大学経済学部入学後は夏のバイク、冬のスキーに没頭。
1988年4月、新日本証券(現みずほ証券)入社。生まれ故郷の神戸支店を皮切りに営業店、本社営業企画部門と人事部門、グループ会社での金融プロフェッショナル教育に従事。横浜西口支店等、4店舗の支店長も務める。
2度の合併(2000年新光証券、2009年みずほ証券)はあれど、30年に渡る証券マン人生の大半を富裕層個人と中小企業の資産運用、M&A、IPOに携わる。
駆け出しの頃に飛び込みで開拓したお客さまが後年上場を果たし、そのカッコいい姿を見て「いずれ俺もああなりたい!」と起業を夢見るようになる。
2011年の東日本大震災を目の当たりにして、「やりたいことに挑戦しないまま死んだら絶対に後悔する!」と若いころからの夢である起業を決意。2017年12月末みずほ証券を退職、2018年3月、53歳の時に株式会社WealthLeadを創業。
全国で約270名(2022年9月現在)しかいない、日本証券アナリスト協会認定シニア・プライベートバンカー。YouTube『よくわかる資産運用チャンネル by WealthLead』の運営もしている。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載老後の不安がなくなる50歳からのお金の増やし方