自然素材を取り入れるのは容易ではないが・・・
筆者の会社で提案する、自然素材を取り入れた設計手法「エコミックスデザイン」は、少しずつ仕様変更等を重ね、入居者同士のコミュニティの力を使うことにより、快適さを体感できるレベルになってきました。
ここまで、建築技術部が自然素材の品質のバラつきを危惧したり、営業部が特性の説明について難色を示したり、事業企画部の私もクレームを恐れて部材の採用に躊躇したりと、組織内の葛藤や紆余曲折もありましたが、最近は社員一人ひとりがエコミックスデザインの成長を心から望み、さらなるイノベーションを考えるようになってきたと思います。
またお客様も自然素材を採用した当初は、新建材と比べた傷のつきやすさや湿度の変化による部材の収縮などに目が行っていたようですが、最近は体感温度を軸にした室内環境の重要性に共感いただくようになり、価値観の共有もできはじめていると感じています。
自然素材が葬り去られてきた住宅業界の事情とは?
しかし、価値観の共有ができてくると、なぜ自然素材が葬り去られてきたかが気になり始めました。もちろん、自然素材には特有の扱いづらさはあります。
しかし住宅業界が新建材に舵を切り始めて来た背景には、業界の都合や社会的に要請されてきたという事情があったのではないでしょうか。
そして今、その背景が変化し始めていると感じています。そこで改めて戦後日本の住宅の歴史を見つめ直すことで、これからのマンションのあり方を考えていきたいと思います。