貯蓄型と掛け捨て型の死亡保険のメリットとデメリット
◆実は「掛け捨て型」の「定期死亡保険」の方がお得!
保険の販売をしていると、「貯蓄型」の保険を好む人が非常に多いことがわかります。やはり、「払った保険料以上の金額が返ってくるのだから、別に損をするわけではないから、よいだろう」と考えるのでしょう。
確かにその通りなのですが、「そのお金を自分で投資して運用していたらどうなっていたか」という点が、抜けていることが問題です。
多くの日本人は投資をしていないため、投資による「複利」の効果を知りません。だから、これだけ終身保険や変額保険が人気を得ています。
もし、貯蓄型の保険に入らず、必要な死亡保障額の分だけ「掛け捨て型」の保険に入り、残りを投資に回していたら、どれだけ資金が増えるようになるのか、そのシミュレーションをしてみるとよくわかります。
まずは、一例から紹介します。
【想定】35歳の男性、妻が専業主婦、子どもが1人誕生
子どもが25歳で独立すると想定して、それまで1,500万円の死亡保障が必要と仮定します(25年間の保障が必要)。「貯蓄型保険」と「掛け捨て型保険」を比較すると、以下の通りです(保険料は保険会社により異なるため、概算の表記です)。
【貯蓄型保険(終身保険)】
・払込期間:35歳~65歳(30年間)
・保障期間: 終身
・保険金額:1,500万円
・保険料:月約37,000円
【掛け捨て型保険(定期保険)】
・払込期間:35歳~60歳(25年間)
・保障期間:35歳~60歳(25年間)
・保険金額:1,500万円
・保険料:月約4,000円
これだけの差があります。この差は当然で、貯蓄型の保険は保障期間が「終身」であるため、必ず死亡保険金の1,500万円は遺族が受け取れるわけです。ですから、保険会社目線で考えると、1,500万円により近い保険料を回収しなければ経営が成り立たないわけです。
貯蓄型の保険で35歳から65歳までの30年間で支払う総額は、約37,000円×30年×12カ月=1,332万円(概算)です。結構な金額になります。本来、保険料から保険会社の運営費(人件費や家賃など)を賄うことを考えれば、1,500万円以上の保険料をもらわないと経営が成り立たないことになります。
しかし、保険会社は保険料として預かったお金を長期間運用できるため、1,500万円未満のお金でも収支が合うという計算になるのです。