(※写真はイメージです/PIXTA)

日本が地震大国であることは、言うまでもありません。しかし、実際どこで、どれだけの頻度で地震が発生しているのか、具体的な数値で確認する機会はあまりないでしょう。本稿では、対震構造の開発・普及に努める谷山惠一氏が、地震大国・日本の実情を解説します。

日本の国土面積は「全世界の1%にも満たない」のに…

地震は世界中のどこでも同じように起こっているわけではありません。図表2は、政府の地震調査研究推進本部が公表した、1977年1月から2012年12月までに発生したマグニチュード5以上の地震を示したものです。

 

[図表2]世界の震源分布

 

図表2では、日本全土が黒く塗りつぶされています。日本の国土面積は、全世界の1%未満です。それにもかかわらず、世界で発生する地震の約1割が日本の周辺で発生しています。まさに世界有数の地震大国といえます。

1日の地震は「数百回」!日本は常に揺れている国

今現在も日本のどこかは揺れています。それは気象庁の「震源リスト」を確認するとリアルに感じることができるはずです(図表3)。

 

[図表3]震源リスト(2021年11月6日の記録の一部)

 

気象庁の「震源リスト」はマグニチュード0.1といった体感できないような微細な地震も観測したデータになります。例えば、2021年11月6日の記録を見ると、なんと1日の間に1060回も地震が発生していました。実に80秒に1回の割合です。

 

「それは特別多い日ではないか」。そう思うかもしれません。しかし、そうではないのです。試しに昨日のデータを確認してみてください。おそらく数百回は発生しているはずです。しかもその場所は、図表3に示すように、全国にわたっています。

 

つまり、日本列島は常に揺れているといっても過言ではありません。我々は揺れる大地の上で日々生活していると認識しなければなりません。

日本に「地震の起こらない安全地帯」はほとんどない

では、なぜこれほどまでに日本は地震が多いのか、その理由を考えてみます。地震には、主に「プレート境界型地震」と「活断層型地震」の2種類があります。

 

<プレート境界型地震>

地球の表面は、十数枚のプレートで覆われています。プレートとは、大きな板状の岩と理解してください(図表4)。

 

[図表4]日本周辺のプレート

 

日本の周辺では、太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレート、北米プレートが接しており、それらの境界が日本海溝、相模トラフ、駿河トラフ、南海トラフなどと呼ばれるものです。

 

太平洋プレートとフィリピン海プレートは、毎年数cmずつ西に動き、日本列島の下に潜り込んでいます。これによって大陸側のユーラシアプレートの端が引きずり込まれてだんだんと歪んでいきます。この歪みが限界点に達して元に戻ろうとするとき巨大なエネルギーが放出されます(図表5)。これが日本の太平洋側で発生するプレート境界型地震です。東日本大震災はこのタイプの地震でした。

 

[図表5]地震発生の模式図

 

<活断層型地震>

このプレートの歪みによるエネルギーは、内陸部にも及びます。そして内陸部の岩盤が耐えられなくなって割れ、一気にエネルギーを放出することがあります(図表5)。これを活断層型地震(直下型地震)といい、割れた場所を活断層と呼びます。

 

日本の国土は、この活断層が多いことも特徴です。その数はおよそ2000。阪神・淡路大震災も活断層型地震でした。政府は同地震をきっかけに活断層の調査を実施。活動度や活動した際の社会への影響などを考慮して、114の「主要活断層帯」を選定しています。

 

主要活断層の分布を表したものが図表6になります。ご覧のように北海道から沖縄まで日本全国に点在しています。つまり、日本国内において「ここなら安心」という地域は、ほとんどないのです。

 

出典:内閣府防災白書
[図表6]主要活断層の分布 出典:内閣府防災白書

 

 

谷山 惠一

株式会社ビーテクノシステム 代表取締役社長、技術士

 

日本大学理工学部交通工学科卒業後に石川島播磨重工業(現:株式会社IHI)入社。橋梁設計部配属。海外プロジェクト担当としてトルコ・イスタンブールの第1ボスポラス橋検査工事、第2ボスポラス橋建設工事等に参画。第1ボスポラス橋検査工事においては、弱冠28歳でプロジェクトマネジャーとして従事し、客先の高評価を得る。

その後、設計会社を設立し、海外での橋梁建設プロジェクトに参画。当時韓国最大の橋梁であった釜山の広安大橋建設工事などに、プロジェクトマネジャーとして従事。橋梁、建築物等の構造物設計・解析を専門とする。現在は橋梁設計のほか、独自の技術で一般住宅向け免震化工法「Noah System」を開発し、普及に努めている。元日本大学生産工学部非常勤講師。剣道五段。

※本連載は、谷山惠一氏の著書『もう地震は怖くない!「免震住宅」という選択』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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