(※写真はイメージです/PIXTA)

経営戦略を練るためには、企業の状況を正しく把握することが必要不可欠です。本記事では、事業再生専門家として16年間不振事業の再生に取り組み、現在は株式会社ミスミグループ本社の名誉会長である三枝匡氏が、著書『決定版 戦略プロフェッショナル 戦略独創経営を拓く』(KADOKAWA)から企業の現状を正確に分析し、今後の見通しを立てるコツについて解説します。

企業の経営状況を見極めるには「尺度」が必要

もしあなたが、どこかの問題会社に乗り込んでいくなら、その会社の状況を早く判断したいと思うだろう。戦略的な観点からは、その会社が世の中の競合に比べて、いい勝負をしているのかどうかがカギである。

 

社内だけを見ていくら良さそうに見えても、市場で競合にやられつつあるのなら、その会社の明日の命運は分からない。逆に、社内を見ていかにお粗末に見えても、競合企業よりマシなら、とりあえずは勝っていることになる。競争とは相対的なものだからだ。

 

あなたが経営の状況を見て、それが「相対的」にお粗末なのか、それともマシなのかを判断するには、あなたは初めから何かの「基準」をもっている必要がある。

 

それで実際に会社の中を覗くと、その基準に照らして正常なこともあれば、外れた現象に出くわすこともある。ズレを見つけたら、それを生み出している原因が何かを探っていく。

 

慣れてしまうと、問題点を絞り込むのには、このやり方が最も効率が良いのだが、そのためには、自分で先に一般的な論理から、あるいは経験からくるフレームワークを蓄積していなければならない。それもないなら、ズレ(異常)があっても、あなたは気づかず目の前を通り過ぎていくことになる。

経営戦略の基本となるプロダクト・ライフサイクル

さてそれでは、どんなやり方で競合ポジションの仮説を立てればよいのだろうか。ここではそのステップをイメージ的に描いてみる。

 

まず、あなたに「一般的な論理から、あるいは経験からくるフレームワーク」がないと、何の判断もできないと書いた。あなたはあらかじめその論理を勉強して、身につけていなければならない。ここでは、その基礎的論理の例として、2つのチャートを挙げる。

 

第一のチャートは、プロダクト・ライフサイクルだ。これまで戦略論の勉強を積んできた人は、今さらなんだと思うかもしれない。しかし、この理論を決して馬鹿にしてはいけない。

 

というのは、今日の経営戦略論の多くは、プロダクト・ライフサイクルの考え方を包含しているか、暗にそれを前提にしていることが多いのである。

 

事業や製品がプロダクト・ライフサイクルの段階を進むにつれて、市場での競争の形態が変化していき、そこで競合に打ち勝つカギも移行していくからだ。それによって、経営者としてのあなたの打ち手も違ってくる。

 

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    ※ 本連載は、三枝匡氏の著書『決定版 戦略プロフェッショナル 戦略独創経営を拓く』(KADOKAWA)から一部を抜粋し、再構成したものです

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