企業の経営状況を見極めるには「尺度」が必要
もしあなたが、どこかの問題会社に乗り込んでいくなら、その会社の状況を早く判断したいと思うだろう。戦略的な観点からは、その会社が世の中の競合に比べて、いい勝負をしているのかどうかがカギである。
社内だけを見ていくら良さそうに見えても、市場で競合にやられつつあるのなら、その会社の明日の命運は分からない。逆に、社内を見ていかにお粗末に見えても、競合企業よりマシなら、とりあえずは勝っていることになる。競争とは相対的なものだからだ。
あなたが経営の状況を見て、それが「相対的」にお粗末なのか、それともマシなのかを判断するには、あなたは初めから何かの「基準」をもっている必要がある。
それで実際に会社の中を覗くと、その基準に照らして正常なこともあれば、外れた現象に出くわすこともある。ズレを見つけたら、それを生み出している原因が何かを探っていく。
慣れてしまうと、問題点を絞り込むのには、このやり方が最も効率が良いのだが、そのためには、自分で先に一般的な論理から、あるいは経験からくるフレームワークを蓄積していなければならない。それもないなら、ズレ(異常)があっても、あなたは気づかず目の前を通り過ぎていくことになる。
経営戦略の基本となるプロダクト・ライフサイクル
さてそれでは、どんなやり方で競合ポジションの仮説を立てればよいのだろうか。ここではそのステップをイメージ的に描いてみる。
まず、あなたに「一般的な論理から、あるいは経験からくるフレームワーク」がないと、何の判断もできないと書いた。あなたはあらかじめその論理を勉強して、身につけていなければならない。ここでは、その基礎的論理の例として、2つのチャートを挙げる。
第一のチャートは、プロダクト・ライフサイクルだ。これまで戦略論の勉強を積んできた人は、今さらなんだと思うかもしれない。しかし、この理論を決して馬鹿にしてはいけない。
というのは、今日の経営戦略論の多くは、プロダクト・ライフサイクルの考え方を包含しているか、暗にそれを前提にしていることが多いのである。
事業や製品がプロダクト・ライフサイクルの段階を進むにつれて、市場での競争の形態が変化していき、そこで競合に打ち勝つカギも移行していくからだ。それによって、経営者としてのあなたの打ち手も違ってくる。
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