製品の市場における成長段階の骨子がプロダクト・ライフサイクル
市場が導入期や成長期の初期にあれば、外部からの参入は楽である。当方にとっても楽だし、競争相手にとっても楽である。この時期は「製品内容」による優位性がカギである。製品の信頼感が確立していない段階で価格差を強調しても、その効果には限りがある。
やがて成長期に入ってどこの企業も似たものを出せるようになると、営業体制やアフターサービス網など、いわゆる「面」展開での蓄積に勝負の決め手が移る。
そしてその先には、価格差による戦いが待っている。サービスを提供することによって価格競争から免れようとしても、この段階では限界がある。
価格を下げる競争はコストを下げる競争である。そのためには販売量を増やさなければならない。かくして競争は、ますます面展開や量的拡大の競争に移っていく。それは資金量の戦いでもある。
ライフサイクルの最終段階では「複合的優位性」が支配する。この段階で競争上の地位(マーケットシェア)はほとんど固定する。新しい優位性を打ち出す余裕は少なくなり、互いにもう攻めどころがない。「いったい何が要因なのかはっきりしないのに、とにかく差がついたままだ」というのが実情だ。逆に言えば、それがトップ企業の「勝ちパターン」なのである。
企業の売り上げではなく市場全体を見る
分厚い経営戦略書を買って、複雑な戦略モデルを理解しようと取り組んでも、ややこしい思いをしたあげくに、実際の仕事では使えない。そんな経験のある人も、もう一度基本に戻って、プロダクト・ライフサイクルのセオリーだけは「完璧に」理解されることをおすすめする。これは、あなたの仕事上の判断にモロに使えるからだ。
問題になっている事業がライフサイクルのどの段階に位置しているかを頭の中で位置づけてみる。その会社の売上げを考えてはいけない。世の中の市場全体のことだ。それが誕生期か、成長期か、それとも、もう成熟しているのか。
「そうか。この会社の中心事業は、多分、成長期の、それもまだ前半かもしれない。もしそうなら、これから新しい競争相手がさらに入ってくる可能性がある。いよいよ大変だ」といった具合にイメージする。もちろんこのイメージを得るためには、その市場の動向についてある程度の予備知識がいる。
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