どの企業でも効果がある「3つの訴求ポイント」
最近の人手不足の背景から、採用コンテンツに力を入れている企業が増えています。私の会社でも多くの企業の採用サイトを担当していますが、多くの成功事例があります。そのなかでどの企業でも効果がある訴求ポイントは3つあります。
一つはこの会社が社員のために「なにをするか」ではなく「なにをやらないか」を打ち出すことです。昔は「年に1回社員旅行でハワイに行きます」「福利厚生で全国100カ所のホテルを格安で利用できます」「給料はこれだけ出します」といったことを打ち出していましたが、今は「残業はありません」「出張はありません」「転勤はありません」「社員旅行はありません」といった会社がやらないこと、強制しないことを打ち出すほうが、はるかに効果があることが分かっています。というのも、採用の対象となる若い世代は自分の仕事と同様に自分や家族との時間を大切にする価値観に変化しているからです。
もう一つは、求職者の目線で自社の事業を紹介することです。企業のホームページでは、自社の顧客に向けて事業の内容や提供できること、競合他社と比較した場合の優位性を打ち出すのが基本となっています。配管工事の事業をしている場合は、配管工事をこういう機械でこういう体制で行っているので安心して任せられる、他社よりも短納期で質の高い工事ができるということを訴求しています。しかし求職者の視点ではそもそも配管工事ってどんなことをするのかという疑問をもっています。配管工事は実際には水道、ガス、電気のほかにも多様な液体・気体・個体を家屋や工場、オフィス等に輸送しています。配管工事という仕事は人々の暮らしや都市づくり、産業を担うやりがいのある仕事であり、地方自治体からの仕事を担当しているので、安定性も高いというように、仕事をする立場からの事業内容をきちんと伝えることが大切になってきます。しかし多くの企業では営業を前面に押し出したページのなかにポツンと求人募集要項があるという形になっており、実際の仕事の姿が見えてきません。
最後が、求職者が会社で働く自分を想像できる内容にするということです。以前は「この経営者のもとで働きたい」という思いが強かったのですが、最近では「一緒に働く人はどんな人なんだろう」ということや、具体的な一日の仕事の流れを知りたい求職者が増えています。そこで求職者の年齢層に近い年齢の人やすぐ上の先輩を紹介するページや、部署ごとの一日の流れを分かり易く伝えるためのページを作ることが多いです。
「新卒採用」と「中途採用」はページを分ける
私の会社でも人材採用ページを作っています。私の会社はアクセス解析ツールを提供しているだけに数字が事実を物語るということで、平均年齢や男女の割合、血液型や眼鏡・裸眼・コンタクトレンズの割合までグラフにして掲載しています。入社後に働く自分の姿やライフスタイルがイメージできると求職者には好評です。
求職者は自分がこの会社で働いた場合に、どんな生活をするのか、どんなライフスタイルが待っているのかといった具体的なイメージを求めている傾向にあります。
特に中途採用の場合は、今まで自分が培ってきた経験・技術を活かすことができ、前職と同様のパフォーマンスを発揮できるかということをいちばん心配しています。転職希望者が心配する気持ちに寄り添うために、自社で使用している機械や技術を分かりやすく説明すると、自分にもできそうだなというイメージをもってもらえます。
新卒であれば、入社後に手厚い研修をしてくれて、部署に配属してからも先輩メンターがついて仕事の困りごとをケアしてもらえるという制度を説明すると安心してもらえます。
新卒と中途では求職者の思考・感情が違うため、新卒採用と中途採用はページを分ける必要があります。
浜野 耕一
株式会社コウズ 代表取締役