(※写真はイメージです/PIXTA)

社内の業務効率化、マーケティングへの活用、ネット経由での集客、営業力の強化、人材採用…。今、「ホームページ」では多くのことが実現できるようになっています。しかし現在、ホームページを十分に活用できている企業はそう多くありません。ホームページで成果を出せる会社と出せない会社とでは、どんな違いがあるのでしょうか? ホームページ制作・運営、マーケティングのプロが解説します。

大切なのはホームページの「目的」を明確化すること

ホームページをリニューアルしてほしいと私の会社に制作を依頼する企業は毎年300社ほどあります。一般的には企業は3年から5年でホームページをリニューアルしています。

 

私がホームページの重要性を訴えるのに応じて、せっかくリニューアルするなら、ホームページの活用の幅も広げたいと考える経営者が増えてきており、非常にうれしく思っています。

 

ホームページの活用の幅を広げるには、まず目的を明確にしなければなりません。そして目的は経営課題に関連しているのが理想です。しかし現在存在する企業のホームページは、目的が明確でないものが意外に多いように思います。目的が明確でないと、なにを成果とするべきなのかが分かりません。成果がなにかが分からないから、どれくらいの目標を掲げて頑張ればよいのかも分かりません。つまり改善のしようがないのです。

 

実際にホームページをうまく運営すると、活用の幅はどんどん広がっていきます。そのため最初からあれもこれもと領域を広げると、中途半端な取り組みとなり混乱が生じます。

 

少なくとも実現したいことを最大3個までに絞り込んだほうが、スムーズに制作が進みます。その際に経営課題を制作会社と共有しておくと、課題を解決するにはこういうコンテンツやシステムを追加したほうがいいといったような、制作に関してのさまざまなアイデアが提案されると思います。

 

ホームページに成果を期待せず、単に他社を意識して見栄えだけを気にしているような経営者に対しては、私はその企業と同じ業界の成功事例を話すようにしています。経営者がホームページに期待をしていないのは、どんなことが実現できるか、どんな成果が得られるのか、具体的なイメージをもてていないからだと私は思います。特にデジタル音痴の経営者の場合、ホームページから勝手に問い合わせが来るなんて想像すらできていません。

 

ホームページの目的をイメージするには、さまざまな事例や活用例を知ることが大切だと私は考えています。

 

漠然とした目的は方向性が定まらない原因になります。新規事業の場合は、事業の成功イメージが描かれていないということもよくあります。また具体的な収益モデルがない場合もあります。そうなると目的があいまいになり、ホームページを制作してもぶれてしまいます。そうならないためにも事業の練り直しから始めてくださいと伝えるようにしています。

ホームページは「ただ作れば成果が出る」ものではない

またホームページの可能性が広がっているとはいえ、魔法のように何でもできるわけではありません。既存のホームページでは問い合わせが1件もないのに、いきなり問い合わせを月に1000件獲得したいと設定しても、現実的ではありません。非現実的な目標を掲げるのではなく、ホームページ制作のプロに企画の段階から入ってもらい、プロ目線で成果を上げるホームページの提案をしてもらうことが大切です。

 

作っただけで成果が上がることはなく、作ってからどうすれば成果が上がるのか試行錯誤しながら作っていくことが、成果につながる唯一の道です。ホームページは人材育成と同じで、何年も掛けて育てるものです。即効性はありませんが、数年後には確実に他社と差が付きます。私はいつも目的を絞り込んで、長期的な視点でホームページを考えてくださいと説明しています。

 

目的は抽象的なものでも問題ありません。よくある目的として、ブランディングというものがあります。あるブランドに対しておしゃれに敏感な20代の女性層を取り込みたい、求人できつい、汚い、暗いという3Kのイメージを払拭して求職者に働きがいがもてることを訴求したい、といったようなものです。その場合の目標設定で大切なのは、ウェブページにどういう層が何人ぐらい訪れてくれるのかということを考えることです。

 

例えばアクセス解析ツールを見れば、20代の女性がどういう言葉を検索してホームページを訪れ、どのページを見ているのかが分かります。例えばアクセサリーの商品についてブランド価値を上げたい場合、20代の女性が「アクセサリー 高級」という言葉で検索をして、1000人がその商品ページを見にきたら、ターゲット層にブランド価値を訴求できたことになります。

 

求職者に対して3Kのイメージを払拭したいなら、採用コンテンツで福利厚生や社内風土のページを作って、社員が和気あいあいと、健康的に過ごしている職場の様子を伝えます。そして採用コンテンツを訪れた人の8割に福利厚生と社内風土のページを見てもらえるようにしようという一つの目標を設定するのです。抽象的な目的の場合、数値化された目標を設定し、そしてその目標に対してどのような施策を打っていくか、それに応じた戦略を組み立てていくことが必要になってくると思います。

 

ホームページの制作では、目的を明確にしなければ必ず失敗します。反対に目的が明確になっていれば、具体的な目標を設定し、成果を上げるにはどうすればいいか、ホームページの制作のプロが参画して、一緒に考えていくことができます。

 

日本の中小企業はホームページを有効活用できていません。ホームページといえば集客といったような既存の固定観念を取り払い、柔軟に活用していくことがこれからの業績を伸ばすカギとなります。目的を設定するには、多くの活用例を知り、自社の経営課題に照らし合わせてみると、イメージが湧き、活用の幅が広がると思います。

 

ただスタート段階で領域を広げてしまうと、目指す方向性を見失ってしまう可能性もあります。まずは活用の領域を重要度によって優先順位を3番目くらいまでつけます。その3つに関連性がないのであればサイト自体を分ける方法も考えるべきです。

 

BtoBのビジネスモデルで問い合わせ件数を増やしたいという目的と、採用活動を強化したいという目的があった場合、商品の訴求を強化しているなかに採用のコンテンツを入れると、双方の訴求力が薄れてしまうリスクがあります。その場合はまずホームページへの問い合わせ件数を増やすことを目標にして、それが達成されたのちに採用サイトを制作するという選択肢もあります。

 

最終的にホームページは経営課題を解決するためのものなので、目的を明確にして優先順位をつけるということは、ホームページが実現するべきロードマップを長期的な視点で作るためにも有効です。

 

 

浜野 耕一

株式会社コウズ 代表取締役

 

※本連載は、浜野耕一氏の著書『デジタル音痴の経営者でも作れる 業績を上げるすごいホームページ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

デジタル音痴の経営者でも作れる 業績を上げるすごいホームページ

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浜野 耕一

幻冬舎メディアコンサルティング

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