前回は、栄養バランスが良い食事のキーワード「まごわやさしい」について解説しました。今回は、「食物繊維」が腸の働きをスムーズにする理由について見ていきます。

便秘解消には「食物繊維」の摂取が有効

前回からの続きです。「まごわやさしい」のほとんどに入っているのが食物繊維です。腸内環境の改善にはとても大切なものですが、日常の食生活の中では常に不足しがちと言われています。

 

私は日ごろから野菜をはじめとした、食物繊維が豊富な食べ物を積極的に摂るようにしています。また、食物繊維は野菜だけではなく、いも類や豆類、海藻類にも豊富に含まれていますので、できるだけ多品種を摂るようにしています。

 

なお、食物繊維には、大きく分けて、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」があります。水溶性食物繊維には、大腸で分解されビフィズス菌などの善玉菌のえさになるという特徴があります。善玉菌が増えれば、腸内環境はとても良くなります。さらに、分解された後、水分をたくさん含んだゲル状になり、便を柔らかくします。便秘解消には非常に心強い成分といえるでしょう。

 

規則的でスムーズな排便には、ある程度、便のボリュームがあることが大切です。量が多ければ腸が刺激され、ぜんどう運動が活発になるからです。食物繊維は消化吸収されにくく便になるため、量が増えやすいのです。不溶性食物繊維は、消化吸収されにくく、そのまま便になるため、便の量を増やすのに役立ちます。また、食物繊維は腹持ちも良く満腹感が得られやすいので、食べ過ぎも防げます。参考までに、食物繊維を多く含む食品を図表に挙げました。

 

[図表] 食物繊維を多く含む食品

 

「噛むこと」が腸を動かす秘訣!?

ただ、忙しい毎日の中で、いちいち食品をチェックしながら摂るのは面倒、というのが正直なところではないでしょうか。長続きしなければ効果もありませんので、あまり神経
質になるのも考えものです。

 

別に、毎日家で、食物繊維が豊富な料理を手作りしなければならない理由はありません。コンビニのカップサラダでもいいのです。できる範囲で毎日の食生活に取り入れるのが、継続のコツだと思います。

 

なお、野菜はできるだけ野菜そのものを食べるほうが良いのではないかと思います。ジュースが悪いわけではないのですが、それだけというのは考えものです。

 

私たちの身体は、食べ物を口でよく噛んで、ある程度の大きさにして飲み込む動作によって、神経を通して「これから消化活動に入る」という指令が消化管に行きわたるのだそうです。

 

腸を動かし、消化吸収や排泄をスムーズに行うためにも「噛むこと」はとても大切だと思います。

本連載は、2016年4月30日刊行の書籍『不老「腸」寿』から抜粋したものです。記載内容は予防医学の観点からの見解、研究の報告であり、治療法などの効能効果や安全性を保証するものではございません。

不老「腸」寿

不老「腸」寿

村田 公英

幻冬舎メディアコンサルティング

本書では、約50年の長きにわたり乳酸菌の研究を行ってきた著者が、本当に効果のある腸内改善のノウハウについて解説していきます。 「乳酸菌生産物質」を活用した腸内改善を行えば、100歳まで健康に長生きすることが可能にな…

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