(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●25bpの利上げはほぼ織り込み済み、今回は利上げ停止の手掛かりの有無が焦点となりつつある。

●複数のFRB高官は、引き締め継続が必要と述べており、FOMC声明の大きな修正はまだなかろう。

●注目はパウエル議長の発言、弊社は3月FOMCでの利上げ終了と、年内据え置きを予想している。

25bpの利上げはほぼ織り込み済み、今回は利上げ停止の手掛かりの有無が焦点となりつつある

米連邦準備制度理事会(FRB)は、1月31日、2月1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催します。弊社は今回、25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の追加利上げが行われると予想していますが、フェデラルファンド(FF)金利先物市場でも、25bpの利上げ確率は直近で97.6%となっており(図表1)、先月の利上げ幅(50bp)からの縮小は、ほぼ織り込み済みです。

 

 

なお、「FRBウオッチャー」として知られる米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのニック・ティミラオス記者は1月22日、この春に利上げを一時停止できるか今会合で議論を開始する可能性があると報じました。ニック記者は昨年6月のFOMC直前、75bpの利上げ検討と報じ、実際に75bpの利上げが決定された経緯もあり、今回の報道に対する市場の関心は高く、今会合で利上げ停止の手掛かりが示されるか否かが焦点となりつつあります。

複数のFRB高官は、引き締め継続が必要と述べており、FOMC声明の大きな修正はまだなかろう

今回はFOMCメンバーによる経済見通しや、メンバーが適切と考える「政策金利水準の分布図(ドットチャート)」は公表されないため、FOMC声明と、記者会見でのパウエル議長の発言に注目が集まります。現在のFOMC声明には、利上げの継続が適切であるとの文言や、利上げペースは金融引き締めの累積効果や時間差などを考慮して決めるとの文言が明記されています。

 

FOMC声明は、政策意図を示す基本手段であるため、仮にFRBが利上げ停止の意向を市場に伝達するならば、これらの文言は修正されることになります。ただ、FRBのウォラー理事やブレイナード副議長、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁らは最近の発言で、金融引き締めの継続が必要との見解をそろって示しています。そのため、今会合ではまだFOMC声明の大きな修正はないと推測されます。

注目はパウエル議長の発言、弊社は3月FOMCでの利上げ終了と、年内据え置きを予想している

そのため、より注目されるのは記者会見でのパウエル議長の発言です。前述のニック記者の記事では、利上げの一時停止には、雇用や消費、インフレがあとどれくらい鈍化すればよいか情報を集めて議論するとしており、パウエル議長がこの辺りに言及するかが焦点となります。すでに先月の記者会見で、政策金利の最終到達点や、その持続期間が重要と述べているため、今回、一時停止に関する追加的な情報が示されることも十分考えられます。

 

ただ、その場合でも、当面は利上げ継続が適切で、利下げは検討していないとの見解を繰り返し、市場が過度に楽観しないよう、けん制すると思われます。弊社は3月21日、22日のFOMCで0.25%の利上げが決定され、利上げは終了、年内は据え置きを予想しています。3月FOMCまでの雇用統計と消費者物価指数で(図表2)、雇用とインフレの鈍化傾向が確認できれば、その予想が実現する公算は高まるとみています。

 

[図表2]米雇用統計などの発表予定

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『アメリカの利上げは「3月FOMCで終了」か?2023年1月FOMCプレビュー ~今回の注目点を整理する【ストラテジストが解説】』を参照)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

 

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