(画像はイメージです/PIXTA)

2024年からスタートする岸田NISA。国民に資産形成を促すことを目的に、さらに充実した内容へと変化しました。ここでは、①資産所得倍増プランとは何か、②NISA制度が改正されたのはなぜか、③岸田NISAはどのようなものか、④私たちは岸田NISAを利用すべきか、について見ていきます。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

岸田首相が旗振り…「資産所得倍増プラン」って?

生徒:先生、岸田首相が新しいNISA制度を作ったそうですが、どのようなものなのでしょうか?

 

先生:岸田首相は、「資産所得倍増プラン」の1つとして、貯蓄から投資へのシフトを加速させるため、NISAの仕組みを大胆に変更すると宣言していました。

 

生徒:資産所得倍増プランとは何ですか?

 

先生:資産所得倍増プランとは、ひとことでいうと、「高齢化と低成長で、日本の財政は大赤字!皆さん、銀行預金で貯蓄しても老後資金は足りませんよ! 投資信託を買って自分でお金を増やしてくださいね!」というものです。

 

岸田首相は、これによって個人投資家の数と投資額を倍増させようとしています。すなわち、5年間でNISA口座の数を1,700万から3,400万へ増やすとともに、5年間で年間投資額を28兆円から56兆円へ増やすことを目標にしているとのことです。

 

★従来のNISAと岸田NISAの違いはこちらをチェック

【全解説】新・岸田NISAの違い!一般NISAつみたてNISAで投資枠が年360万円、生涯無税1800万円へ

そもそも、NISAはなぜお得なのか?

生徒:「投資を2倍にする」って、すごい計画ですね。でも、そもそもNISAはどうしてお得なのでしょう?

 

先生:NISAとは、少額投資非課税制度、すなわち、株式や投資信託などの資産運用から生み出された配当金や売却益が、非課税となる優遇制度です。銀行預金よりもお金を増やすことができる資産運用の手段として推奨されており、2023年度までは、一般NISAとつみたてNISAがありました。いずれも資産運用から生み出された所得に対して税金がかからない点にメリットがありました。

 

生徒:資産運用の税金は、いくら取られるのですか?

 

先生:たとえば、証券会社で一般口座や特定口座を開き、100万円で投資信託を購入したとしましょう。値上がりして150万円になったとき、儲けが50万円発生します。これが所得です。所得には税金がかかるのが原則ですから、これに対して20%、すなわち10万円の税金が取られてしまいます。

 

しかし、NISA口座で投資信託を購入していたとすれば、所得が発生しても非課税となるのです。つまり、このケースでは、手取り額が10万円多くなります。私たちにとって、とてもお得な制度だといえるでしょう。

 

[図表1]初期投資額100万円で投資を始めた場合

 

生徒:それはお得ですね! そんなお得な制度なのに、どうして、みんなNISAを使わなかったのですか?

 

先生:日本人は貯蓄が大好き、すなわち、お金を安全に持っておくことができる銀行預金が大好きです。価格変動リスクのある投資信託や上場株式へ投資しようという考え方に変わるような大きな流れはおきませんでした。結果として、日本人の金融資産は、近年、ほとんど増えていないのです。

NISA、2024年からどうなる?…3つの変更ポイント

生徒:そうなんですね。それで、NISA制度は具体的にどのように変わるのですか?

 

先生:今回、岸田首相が決めた岸田NISAは、具体的に、2024年度から次の3つの点で大きな変更がおこなわれます。

 

1つは、NISA制度の恒久化、すなわち、NISA制度を将来ずっと使うことができようになることです。これによって、非課税で資産運用できる期間が無期限となります。

 

この点、これまでのNISA制度では、一般NISAが5年間で2028年まで、つみたてNISAが20年間で2042年までとされていました。

 

しかし、NISAがいつかは終わってしまう制度だと理解されてきたため、短期的に株価が上昇したときには、いったん売却して所得を確定すべきだとか、長期投資がおこないにくいと批判されてきました。また、20歳代からつみたてNISAでの資産運用を開始した場合であっても、40歳代という未だに資産形成の途中段階である時期に非課税期間が終了してしまうことが問題となっていました。

 

そこで、岸田NISAでは、期限なし、すなわち、将来ずっと使うことができ、非課税期間が無期限とされる制度となりました。これによって、一般投資家の人たちは、将来にわたって安定的に資産形成をおこなうことができます。

 

生徒:それはいいですね!

 

先生:2つ目は、年間投資枠の拡大です。一般NISAと呼ばれていたものは成長投資枠として240万円、つみたてNISAは120万円となります。

 

この点、これまでのNISA制度では、一般NISAが年間120万円、つみたてNISAが年間40万円までしか投資することができませんでした。

 

しかし、老後資金の準備のためにより多く投資したい、退職金などまとまったお金を投資に回したいという要望が増えてきました。定年まで勤務した会社員の人たちが受け取る退職金の平均額は1,000万円くらいだといわれているからです。

 

生徒:つみたてNISAの年間40万円という上限額は、12で割り算して月額にすると33,333円という端数になるのも、嫌な感じですよね。

 

先生:そうだね。そこで、岸田NISA制度では、年間投資枠を360万円まで増額しました。これによって、成長投資枠とつみたてNISAを併用することで、まとまったお金を投資できるようになります。

 

3つ目は、非課税となる投資累計額の上限が一生涯で1,800万円となることです。ただし、このうち成長投資枠は1,200万円が上限となります。

 

この点、これまでのNISA制度では、一般NISAが合計600万円、つみたてNISAが合計800万円までとされており、しかも、併用することができませんでした。

 

そこで、岸田NISAでは、1800万円まで投資できることとなりました。このうち成長投資枠は1200万円まで投資することができます。たとえば、成長投資枠で300万円投資した場合には、つみたてNISAでは、1800万円から300万円を差し引いた1500万円まで投資できるようになります。しかも売却して現金化すると、その投資枠がまた復活しますので、1800万円の枠内であれば、また投資をおこなうことができます。

 

[図表2]現在のNISAと岸田NISAの違い

 

生徒:1800万円も投資できれば、老後は安心ですね! NISAをやっていない人は、NISAをやったほうがいいのでしょうか?

 

★お墓の承継の方法についてはこちらをチェック

【相続】お墓の承継の方法とは?永代供養や相続税の負担についてもわかりやすく解説

岸田NISAはオトクな制度!…ぜひ利用しよう

先生:この新しいNISAは、個人投資家にとって非常に魅力的な制度です。老後資金を作るための手段として、私は絶対にやるべきだと断言します。こんなお得な制度は初めてです! やらないと損だといっても過言ではありません!

 

生徒:わかりました! 私もいますぐNISA口座を開設します!

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

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