聞き役に徹し、株主に対して誠実に対応
IRについては、どの企業もCFOの仕事である、という認識は一般的になっているようだ。しかし、マスコミを呼んで華々しいイベントを行なうことが、IRだと勘違いしている企業があるので注意したい。IRは、PRや広告と同様、派手なものだと思われがちであるが、それは本来の目的と異なる。
プロとしてIRをチェックする際のポイントは、2つある。
ひとつ目は、「聞き役に徹する」ということ。株主からの質問のすべてにきめ細やかに対応し、企業として誠実な答えを返し続ける。シンプルなようだが、これが意外と難しい。たとえば下方修正の決算時などに、問い合わせが殺到し、IR担当の問い合わせ電話がつながらないといった事態が起こる。これでは株主に対して誠実に対応しているとは言えない。こうした実務が滞りなく行なわれているか、監督するのもCFOの役目なのである。
「IR」の成功は人間関係がすべて!?
2つ目は、「目的を持ってIRする」こと。よく「M&Aをしたいのに、うちの会社にはお声がかからない」などと嘆いている経営者の声を耳にするが、これはIRがうまく機能していないことが原因でもある。
自社の戦略を立てるだけでなく、市場に対してメッセージを出し続ければ、おのずとM&A案件はやってくる。明確な目的もなく、記者を呼んで賑々しいイベントを行なっても、あまり意味はない。
最後に、IRは(IRも、と言えるが)人間関係がすべてであることを忘れてはいけない。CFOは、主要新聞社の記者と懇親を深めることが不可欠だ。一度、マスコミに悪いイメージをもたれてしまうと、その後の記事がネガティブな書かれ方になりやすい。もちろん、自社の情報をフラットな立場でみてもらうことは大切だが、必要以上に記者の反感を買わないようにしたい。