(※写真はイメージです/PIXTA)

昨年の暮れから今月にかけて2023年の「びっくり予想」が花盛りです。年初に改めて経済環境や株式相場について客観的な視点でとらえ直すことは有意義なことです。その一方で現実的にはこうした大胆な予想はおおむねその通りにならないことが多いことも念頭に置くべきでしょう。ただ、予測がつかない世界情勢をどう読むかのヒントにはなるはずです。

ウォール街のご意見番「頼もしいご託宣」

2023年はどんな年になるのでしょうか。昨年の暮れから今月の初めにかけて、証券会社やシンクタンク各社が10大びっくり予想を発表しています。どんな予想をしいるか点検していきましょう。

 

ウォール街のご意見番として知られる米投資ファンド大手のブラックストーンのバイロン・ウィーン氏が2023年1月4日、毎年恒例の「びっくり10大予想」を発表しました。

 

ウィーン氏は元モルガン・スタンレーのストラテジストで1986年以来「びっくり予想」リストを公表しており、今年で38回目となり、毎年市場関係者も注目しています。

 

「びっくり予想」リストは、一般投資家予想では発生確率が3分の1程度だが、ウィーン氏自身は5割を超えるとみる事象を集めたものです。

 

2023年「びっくり10大予想」

①2024年のアメリカ大統領選で有力な新顔が登場
②FRB(米連邦準備理事会)は「金融緩和への転換」を棚上げ
③マイルドな景気後退へ
④株式相場は年央に底打ち
⑤MMt(現代貨幣理論)の信用失墜
⑥ドル高は継続。日本や欧州の資産にも好機
⑦中国は5.5%の成長目標。西側諸国と通商関係の改善を図る
⑧原油は一時1バレル50ドルに
⑨ロシアのウクライナ侵攻、年後半に停戦交渉へ
⑩マスク氏が買収したTwitter、年末までに業績回復
(出典)ブラックストーン

 

市場関係者にとって今年裁断の話題の一つはFRBの利上げがいつまで続くかです。びっくり予想では「金融緩和への転換」はないと予想。さらに利上げの金融引き締めが長引くことでアメリカ景気は「マイルドな景気後退」に陥るとみています。

 

一方で、金融引き締めの継続と景気後退にもかかわらず、アメリカ株式相場は「年央には底打ち」し、年後半には上昇が見込めるという。

 

世界経済に影を落とすロシアのウクライナ侵攻については、総戦争の被害や犠牲が拡大するものの、年後半には停戦機運が高まり、停戦交渉に入ると予想。

日本の円安の限界は1ドル=200円?

サクソバンク証券は2022年12月7日、親会社のオンライン銀行サクソバンクによる2023年の「大胆予測」を発表しました。この大胆予測はアナリストが「実際に起こる可能性は低いものの実際に起こった場合には世界市場に多大な影響を及ぼす」という独自の観点で10大テーマを掲げています。

 

「2023年大胆予測」10大テーマ

①テック業界のビリオネアがコンソーシアムを組成しエネルギー転換を加速
②マクロン仏大統領が2023年に辞任
③金は2023年、3000ドルまで上昇
④EU軍の創設でEUは完全に統合
⑤ある国が2030年までに食肉生産を全面禁止
⑥英国、ブレグジット撤回の国民投票を実施
⑦インフレ抑制のために広範な物価統制が導入される
⑧OPEC+、中国、インドがIMFを脱退
⑨日本は金融システムを抜本的に見直し、円安の限界を200円に設定
⑩タックスヘイブン禁止によりプライベートエクイティに打撃
(出典)サクソバンク証券

 

サクソバンクのテーマは「戦時経済」です。世界的な戦時経済に突入しており、世界の主要国は、現実の軍事的観点から、あるいはパンデミックの経験やロシアのウクライナ侵攻によって露呈した、サプライチェーン、エネルギー、金融面での不安から、あらゆる面で国家の安全を強化しようと躍起になっていると主張します。

 

この戦時経済で何が起きるというのでしょうか。テック業界のビリオネアたちが集結し、必要なエネルギーインフラの整備とエネルギー転換のために1兆ドル超の資金を調達する。マクロン仏大統領は22年の国民議会選挙での与党過半数割れを受け、23年中に辞任。後任には、極右政党のルペン氏が候補となると、大胆予測する。

 

注目は、「日本は金融システムを抜本的に見直し、円安の限界を200円に設定」です。当初、日銀と財務省は、外貨準備残高の半分以上を費やした後、財政の維持が脅かされることを認識し、為替介入を減速・停止することで事態に対処する。ドル円が180円を超えて上昇する局面で、政府と中央銀行は動き出す。まず、日銀が円相場の下限を200円と宣言。根本的な金融システム再構築により、日本が危機対応モデルを確立すると同社は予測します。

 

 

 

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