知らないまま「未申告」で利用していないことが多い控除制度
次に、制度自体を知らなかった、あるいは自分は控除を受けられないと誤解したなどの理由により、申告していない例が多い制度について簡単に指摘します。
◆医療費控除
まず、医療費控除です。これは、通常の医療費控除と「セルフメディケーション税制」の2種類があります。
通常の医療費控除は、その年度の医療費が10万円を超えた場合に、その超えた部分の額について所得控除を受けられるものです。たとえば、医療費を20万円支出したら、うち、10万円を超える部分の額である10万円が所得金額から控除されます。
対象となるのは、以下の費用です。
・医師等の診療や治療を受けるため支払った費用
・治療や療養に必要な医薬品の購入費用
対象となる費用の範囲は意外に広く、たとえば、医療機関に行くための交通費も対象となります。公共交通機関を利用した場合は領収書は受け取れませんが、家計簿等に記録があれば、それをもとに申告すれば認められる可能性があります。
次に、セルフメディケーション税制は、2017年度からスタートした比較的新しい制度なので、十分に浸透しているとはいえません。ドラッグストアや薬局で、所定の医薬品を年間12,000を超えて購入した場合に、その超過額について所得控除が認められる制度です。対象となる医薬品はレシートに「★」等の印がありますので、過去のレシートがあれば確認してみることをおすすめします。
◆生命保険料控除
生命保険料控除は、生命保険、医療保険・がん保険・介護保険、個人年金保険等の保険料の一部について所得控除を受けられるものです。
申告の際に保険会社が発行した「控除証明書」を提出する必要があります。紛失したまま申告しなかったというケースがかなりありますが、保険会社に依頼すれば証明書を発行してくれることがあり、それを用いれば、更正の請求をすることができます。
◆ひとり親控除
ひとり親控除とは、シングルマザーあるいはシングルファザーが35万円の所得控除を受けられる制度です。婚姻歴の有無は関係なく、以下の要件をみたせば35万円を受け取ることができます。
・婚姻をしていない、あるいは配偶者の生死が不明
・生計を一(いつ)にする子がいる
・子の所得の合計額が48万円以下
・合計所得金額が500万円以下
・誰かと事実婚の関係にない
かつては婚姻歴が要求されていましたが、それでは不公平であり合理性が乏しいということで、2020年分から導入されました。
もしも、利用していないのであれば、「更正の請求」の手続きをとることをおすすめします。
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