不動産小口化商品のメリットとデメリット
不動産小口化商品が生まれたのは1980年代です。これにより、十分な資金がなくても不動産投資をすることができるようになりました。ところが、バブル崩壊により損失を抱える投資家が続出。このような深刻な状況にならないよう、1995年に制定されたのが「不動産特定共同事業法」です。
この法令によって、投資家が安心して投資できるよう、一定の要件を満たした経営力のある不動産特定事業者のみに運営が許可されるようになりました。2017年には時代の変化を考慮して、投資の促進のために不動産特定事業者の資本金や出資金の要件が緩和。2019年には「Society 5.0」の実現に向け、最先端の取り組みを伸ばし、日本経済全体の生産性の底上げを図る「未来投資戦略2018」を踏まえた改正などが行われ、少額不動産投資市場の拡大にもつながると期待されています。
■不動産小口化商品のメリット
これまで不動産小口化商品のメリットを紹介してきましたが、簡潔に整理しておきますので、確認しておいてください。
・不動産運用のプロが選んだ物件に投資できる
・資金が十分でなくとも、高額な物件に投資できる
・利便性の良い立地の物件なため、安定した収益が期待できる
・運営会社が物件の管理・運営をするため、手間がかからない
・小口化投資なので、リスクが分散できる
・相続税対策になる
■不動産小口化商品のデメリット
メリットが多い不動産小口化商品ですが、投資である限りデメリットがないわけではありません。主なデメリットは下記のとおりです。
・物件の価格が値下がりするリスク
・空室のリスク
・運営会社が倒産するリスク
・融資が不可なので自己資金が必要
・換金の自由度が低い
ただし、不動産特定共同事業法によって許可された運営会社への投資ですので、値下がりや空室、倒産のリスクは、あまり神経質になる必要はないでしょう。これらのリスクを低くするためには、まずは投資する不動産事業者を厳選してください。換金についても、物件を単独で所有している場合と比べると自由度が低いのは間違いありませんが、利便性の良い立地の物件へ投資していますので、買い手が見つかる可能性は高いといえるでしょう。
不動産小口化商品に投資するときのポイント
不動産運用のプロが選んだ物件とはいうものの、自分で判断して投資するようにしてください。物件を確認するポイントとしては、周辺の環境や雰囲気、立地条件、需要、建物・競合の状況などです。
物件の用途によっても入居率が違ってきます。たとえば、都心の最寄り駅から近い住居用の物件だとしても、近くにスーパーがない場合、必ずしも生活環境がいいとはいえないでしょう。利便性の良い立地のオフィスビルでも、最近ではコロナ禍の影響で空室が目立ち、賃料が下がったケースもめずらしくありません。運用の期間も物件によって違ってきます。短期で投資したいのか、長期で保有したいのかを決めておくといいでしょう。
まとめ
不動産小口化商品は小口投資で分散して購入できるので、リスク分散にもなる不動産投資です。また、不動産税制のメリットを受けることができる仕組みもあるため、相続税対策にもなる投資商品です。
一方で、賃料収入の保証がない、事業者の倒産などのリスクもあります。リスクを回避するには、事業者や物件を慎重に選ぶことが重要です。
実物不動産投資に比べてはじめやすく、リスクも比較的低い不動産小口化商品は、不動産投資初心者にもおすすめです。
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