「会社のあるべき姿」=「DXで変革したいこと」
経済産業省が発行した「DX推進指標とそのガイダンス」では、DXの定義を「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。
要は、DXによって「会社全般について変革を行うべき」と提唱しているのです。これを具体的に取り組むには、どのようなアプローチがいいのでしょうか。
まず大事なことは、会社方針の根幹である「経営ビジョン」と、「DXで変革しようとしていること」が一致している必要があります。経営ビジョンを「会社のあるべき姿」と考えると、現実とのギャップが明確になるでしょう。
多くの会社がそのギャップを意識したうえで、中期的な経営計画を策定していくことになります。その経営計画とDXのX(変革)を連動させ、その実現にD(デジタル技術)を活用するという流れです。
このアウトプットとして、ビジネス成長のための新商品・サービスの創出を行うとともに、これを継続して行えるよう並行して組織風土や業務プロセスを変革していきます。
OKIが推し進める「DX4象限」
筆者は情報通信ベンダーのOKIでデジタル責任者(CDO)をしていますが、OKIは2022年6月に「DX戦略」を発表しています。
このDX戦略におけるポイントは、「DX4象限と外部化」というモデルをもとにDX戦略を実行することです。下図がDX4象限です。
横軸に「生産性強化」と「競争力強化」を置き、縦軸に「ビジネスプロセス変革」と「ビジネスモデル変革」を置いています。
各象限は、第1象限「新ソリューション創出」、第2象限「組織の変革」、第3象限「業務プロセスの変革」、第4象限「既存ソリューション強化」と定義。
左象限(第2象限、第3象限)は「自社内に向けた強化」、右象限(第1象限、第4象限)は「対外的な強化」と表すことができます。また上象限(第1象限、第2象限)は「創造性重視」、下象限(第3象限、第4象限)は「効率性重視」です。
それぞれの象限に、企業としての経営戦略/戦術をマッピングしています。
第1象限は、「新規市場・新規顧客開拓」、「新ソリューション/プロダクト提供」、「ビジネスモデル変革」など、創造性の高いビジネス領域です。
第2象限は社内を創造的にするための領域です。DXとイノベーションは一体で考えるべきであり、経営者は自社をイノベイティブな組織にすることが重要なテーマです。
したがって、「DX人材教育」や「人財戦略」も連動します。これらを行うためには戦略的な投資が必要ですから、もし必要リソースが欠如している場合は「M&A」を選択するケースも出てきます。
第3象限は、業務プロセスの変革を行い自社の構造改革を行います。第4象限は、既存の顧客や市場に対する取り組みです。
現場サイドでよくある誤解が、「既存市場に関して延長線の活動を続けても一定の業績が見込める」という考えです。
これだけ外部環境の変化が激しい現在においては、「なにもしなければ徐々に減少する」もしくは「ゲームチェンジが起こり、一気に市場が消滅する可能性すらある」と考えるべきです。
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