※画像はイメージです/PIXTA

世界経済に大きな打撃を与えた2008年のリーマン・ショックを機に一変した金融業界。当時の大きな潮流であった繰り返される企業買収による再編の動きについて、世界最大の資産運用会社「ブラックロック」日本法人の最高投資責任者(CIO)を経験した河野眞一氏と、3,000人以上をコンサルティングしてきた外資系プライベートバンカー長谷川建一氏の共著書『世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資 』(扶桑社)から解説します。

創業者メンバーの強力なリーダーシップ

急成長のきっかけとなったリーマン・ショックと、その後のM&Aについて述べてきました。しかし、いくら優秀なシステムをもっていたからといって、優秀な人材がいなければ世界最大となるまでに成長することはできなかったでしょう。

 

当時のブラックロックには、会長のラリー・フィンク氏を筆頭に、強いリーダーシップをもつ優れた人材が多く在籍していました。彼らは視野が広く、責任感が強く、倫理観が高く、激しさと柔和さを持ち合わせていました。

 

創業者メンバーであるベン・ゴラブ氏とチャーリー・ハラック氏の2人は、ブラックロックの強みであるアラジンを作り上げました。具体的な企業名は控えますが、自社内の活用にとどまらず、日本の複数の著名金融機関もアラジンを導入していました。

優秀な人材を見極める、創業者ベンのリストラの方針とは?

ベンのリーダーシップについて、よくわかるエピソードがあります。

 

リーマン・ショックの際、あるファンドマネジャーをカットするかどうか、社内で議論になったことがあります。基幹システム開発責任者の一人であるベン・ゴラブ氏は、その際、「絶対にカットしないほうがいい」と主張する私に対し、こう告げたのです。

 

「自分の庭の芝を芝刈り機で刈るとしよう。だが、庭には一凛の花も咲いている。その一輪の花を雑草と一緒に刈ってしまうのは簡単だ。その花まで刈っていいかどうかを見極めるのは、上司であるお前の仕事だろう。お前が、花まで刈るべきでないと判断するなら、刈らずに置いておけばいい」当時、誰か一人をブラックロックに残すためには、他の誰かを切らなければならない事情がありました。

 

一人の人生を大きく左右する重大な決断でしたが、ベンは私にその判断を任せてくれたのです。この「一輪の花」のエピソードは、「選んだ銘柄が信用できるかどうかを見極め、自信と責任を持てる銘柄を長期で保有する」という意味で、投資の世界にも通用する言葉ではないでしょうか。

 

河野眞一

株式会社エリュー 代表取締役CEO

※ 本連載は、河野眞一氏、長谷川建一氏の共著書『世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資』(扶桑社)から一部を抜粋し、再構成したものです

世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資

世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資

河野 眞一、長谷川建一

扶桑社

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