人口レンズでも毛様体の過緊張は起こるという結果が
調節微動解析装置を使って計測すると、正常な(眼精疲労がない)場合はHFCの数値が低く、グラフは薄い色に表示されます。一方で、毛様体に過度な緊張がある場合には、HFCの数値が高くなり、グラフは濃い色に表示されます[図表2]。
その結果、白内障手術後には各年齢層において一定の割合で、毛様体の過緊張が起こっていることが分かりました。毛様体が過度に緊張しているということは、すなわち眼精疲労になる可能性が高いということです。
レンズの種類によって過緊張のなりやすさはさまざま
さらに私たちは、さまざまな多焦点レンズ、つまり2焦点レンズ、3焦点レンズ、EDOFレンズについても調べました。
その結果、2焦点レンズが最も毛様体の過緊張が強く、3焦点レンズでもやや弱いものの同様に過緊張が起こっていることが分かりました。反対に、EDOFレンズでは毛様体の過緊張はあまり起こっていませんでした。
EDOFレンズは、焦点深度拡張型レンズと呼ばれる特殊なレンズです。単焦点レンズでは焦点は1ヵ所、2焦点レンズ、3焦点レンズでは2ヵ所と3ヵ所であり、ピントが合っていると認識できるそれぞれの焦点の範囲(焦点深度)は狭いのですが、EDOFではこの範囲が広くなっています。つまり、焦点の範囲を広くすれば、眼精疲労が起こりにくいことが分かりました。
宮田 和典
宮田眼科病院 理事長
医療法人明和会 理事長