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相続税の小規模宅地等の特例を適用して宅地の評価額を大幅に引き下げるには、所定の期限までに遺産分割をして相続税の申告をする必要があります。では、税金の還付を受ける更正請求で小規模宅地等の特例は適用できるのでしょうか? 今回は4つのケースについてみていきます。

Case.3|特例を適用しようとした宅地が適用要件満たせず

特例の対象でなかった場合は、特例を適用していないことになります。したがって、更正の請求で他の宅地を選択してその宅地が適用要件を満たしていれば、小規模宅地等の特例を適用することができます。

 

【図表3】特例を適用できる限度面積

 

一度宅地の組み合わせを決めて相続税の申告をしたものの、後日、評価額を見直してさらに有利な組み合わせが見つかる場合があります。しかし、更正の請求で一度適用した宅地の組み合わせを変更することは原則として認められません。

Case.4|遺留分減殺請求を受けて宅地の取得者が変わった

遺留分とは、被相続人の配偶者、子、親(祖父母も含む直系尊属)が相続人である場合に最低限受け取れる遺産の割合のことです。遺言などで遺留分に満たない遺産しか受け取れなかった人は、他の相続人に対して不足分を請求することができます。これを遺留分減殺請求といいます。

 

遺留分の減殺請求を受けた人は、相続財産を明け渡すか金銭で支払う必要があり、相続した宅地の取得者が変わることもあります。原則として、更正の請求で小規模宅地等の特例を適用する宅地を変更することはできませんが、遺留分減殺請求という相続に特有の事情があれば変更が認められます。

民法の改正で遺留分減殺請求は金銭で支払うことに

従来、遺留分の減殺請求を受けた人は、相続した財産を明け渡すことが原則でした。しかし、2019年に施行が予定されている民法の改正では、金銭で支払うことに変更されます。つまり、遺留分減殺請求を受けても相続した宅地の取得者が変わることはなく、更正の請求で小規模宅地等の特例を適用する宅地を変更することもなくなります。

当初申告の土地評価に不安があるなら専門家へ相談

原則では、一度申告をすれば更正の請求で小規模宅地等の特例を適用することはできません。ここまで紹介してきた分割見込書を提出しているケースや、宅地が適用要件を満たしていなかったケースは、あくまで例外です。

 

しかし、当初申告をご自身や相続税に詳しくない税理士が行っており、土地の相続税評価そのものに不安があるという場合は相続税に詳しい税理士に相談しなおしてみると小規模宅地等の特例以外の部分で更正の請求を行える可能性はあります。土地の相続税評価には減額要素が多数あり、相続税の知識がない場合高く評価してしまいがちだからです。当初申告の土地の評価に不安がある場合は相談してみると良いでしょう。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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