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たとえば、不動産の登記や故人の預金の引き出しといった相続手続きでは、誰が相続人となるかを確認するために戸籍謄本を提出する必要があります。一つの手続きが終わって戸籍謄本が返却されるのを待って次の手続きに移っていたため、相続がスムーズに進まない場合がありました。法定相続情報証明制度は、そんな手間を省ける制度。利用するための手続きや、制度のメリット・デメリットについてみていきましょう。

法定相続情報証明制度のメリット

相続手続きで法定相続情報証明制度を利用することには、いくつかのメリットがあります。法定相続情報証明制度のメリットは、相続手続きを行う相続人だけのものではありません。届け出先の機関でも、相続人を確認する手間が大幅に軽減されます。

複数の相続手続きが同時にできる

これまでの相続手続きでは、一つの手続きごとに戸籍謄本が返却されるのを待って次の手続きを行っていたため、すべての手続きを終えるまでに時間がかかっていました。法定相続情報一覧図の写しは無料で必要なだけ発行できるため、戸籍謄本の返却を待たずに複数の相続手続きが同時にできるようになりました。

「法定相続情報一覧図の写し」の発行は無料で再発行もできる

法定相続情報一覧図の写しは、必要な枚数が無料で発行されます。相続手続きの届け出先が多い場合でも、手数料の負担はありません。提出した法定相続情報一覧図の原本は法務局で5年間保管されます。5年の保管期間内であれば法定相続情報一覧図の写しの再発行もできます。再発行が必要な場合は、当初の申出人が当初に申し出をした法務局で申請します。申請には申出人の本人確認書類が必要です。

届け出先の機関で相続人を簡単に確認できる

金融機関など相続手続きを受け付ける機関では、提出された戸籍謄本から亡くなった人の相続関係を確認することが大きな負担になっていました。法定相続情報一覧図の写しは亡くなった人の相続関係が一覧図で示され、登記官による認証文もあります。法定相続情報一覧図の写しがあれば戸籍謄本で相続関係を確認する必要はなくなり、相続人を簡単に確認できるようになります。

法定相続情報証明制度のデメリット

法定相続情報証明制度は一度利用を申請するとメリットが大きいですが、申請の手間がデメリットとして指摘されています。

自分で「法定相続情報一覧図」を作成しなければならない

法定相続情報証明制度を利用するためには、自分で法定相続情報一覧図を作成しなければなりません。法務局の登記官は、あくまでも提出された法定相続情報一覧図を認証する立場にあります。戸籍謄本で被相続人と相続人の関係を確認して一覧図を作成するところまでは、自分でする必要があります。

相続手続きが少ない場合は利用価値が低い

相続財産が銀行口座一つだけというように相続手続きが少ない場合は、あえて法定相続情報証明制度を利用する必要はありません。これまでの手続きと同様に、市町村役場で集めた被相続人と相続人の戸籍謄本などを提出すれば相続手続きができます。

法定相続情報証明制度の利用手続きは専門家も

法定相続情報証明制度は申請に手間がかかりますが、その後の相続手続きは簡単になります。多くの場合、制度を利用するメリットはデメリットより大きくなるでしょう。

 

しかし、法定相続情報証明制度を利用したくても、法定相続情報一覧図の作成が難しい場合や時間が取れない場合があるかもしれません。そのようなときは、一覧図の作成や法務局での手続きを司法書士や税理士などの専門家に依頼することができます。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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