法定相続情報証明制度の利用手続きの流れ
法定相続情報証明制度を利用して法定相続情報一覧図の写しの発行を受けるには、下記1~4の順序で手続きを進めます。
1.戸籍謄本や住民票など必要書類を準備する
法定相続情報証明制度を利用するには、次の必要書類を準備します。
戸籍謄本は被相続人・相続人の本籍地の市区町村役場で申請して取得します。
なお、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本は、被相続人の最後の本籍地で申請しただけではそろわない場合があります。過去に本籍地が変わっている場合は、以前の本籍地でも申請する必要があります。(2023年度(令和5年度)には、本籍地以外の最寄りの市区町村でも戸籍謄本を取得できるようになる予定です。 )
親族や資格者代理人が手続きをする場合に必要な委任状の様式は、法務局ホームページに掲載されています。
2.法定相続情報一覧図を自分で作成する
法定相続情報証明制度を利用するには、戸籍謄本で被相続人と相続人の関係を確認して、自分で法定相続情報一覧図を作成しなければなりません。
用紙はA4サイズの丈夫な紙質の白い紙を縦長に使用します。パソコンで作成するほか、明瞭に判読できるのであれば黒色インクや黒色ボールペンによる手書きで作成することもできます。
認証文を記載するスペースとして、用紙の下から5cm程度はできる限り空白にします。相続人が多い場合は複数枚にわたっても構いません。
法定相続情報一覧図の記載例は下の図のとおりです。家系図のような「図形式」のほか、被相続人と相続人を名簿のように列挙した「列挙形式」で作成することもできます。ただし、相続税の申告に利用する場合は「図形式」でなければなりません。
法務局のホームページでは、家族構成に応じた法定相続情報一覧図の様式と記載例が掲載されているので参考にしてください。
◆相続放棄・欠格・廃除がある場合
被相続人の家族に相続放棄した人、相続欠格になった人、相続廃除された人がいるときは、法定相続情報一覧図には次のように記載します。
法定相続情報一覧図は、あくまでも戸籍謄本に記載されている内容に基づいて作成するものです。相続放棄や相続欠格があったことは戸籍に記載されないため、法定相続情報一覧図にはそれらの事実がなかった場合と同様に氏名、続柄などを記載します。
したがって、相続放棄した人や相続欠格になった人がいる場合は、法定相続情報一覧図に記載する相続人と実際に相続できる相続人が異なります。実際の相続手続きでは、別途「相続放棄申述受理証明書」や相続欠格になったことがわかる「刑事裁判の判決書」などを提出する必要があります。
また、相続放棄や相続欠格によって法定相続情報一覧図に記載されていない人が新たに相続人になった場合は、法定相続情報一覧図の写しに加えて戸籍謄本の提出も必要になります。
◆数次相続では二つの一覧図が必要
被相続人が亡くなったのちに続けて相続人が亡くなったときのように、2回分の相続を同時に行うことを数次相続といいます。
数次相続があった場合は、2回の相続の相続人を一つの法定相続情報一覧図に記載することはできません。次のように、亡くなった人ごとに法定相続情報一覧図を作成します。
1.はじめに亡くなった被相続人に関する法定相続情報一覧図
2.次に亡くなった相続人に関する法定相続情報一覧図
3.法務局(登記所)に申し出る
戸籍謄本など必要書類と法定相続情報一覧図が準備できれば、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書に必要事項を記入して法務局(登記所)に申し出ます。申出書の様式と記入例は、法務局ホームページに掲載されています。
◆申出先の法務局(登記所)
申出先は、次のいずれかの場所を管轄する法務局(登記所)です。
・被相続人の本籍地
・被相続人の最後の住所地
・申出人の住所地
・被相続人名義の不動産の所在地
管轄の法務局は法務局ホームページ「管轄のご案内」を参照してください。
◆申出に必要な書類
法務局には以下の書類を提出します。
・法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書
・自分で作成した法定相続情報一覧図
・戸籍謄本や住民票などその他の必要書類
郵送で申し出る場合は、返信用の切手と封筒を同封します。提出した戸籍謄本等は原則として返却されますが、代理人が申し出るときの必要書類(委任状など)は返却されません。
◆申出に必要な費用
法定相続情報証明制度の利用の申し出に手数料はかかりません。ただし、戸籍謄本や住民票など必要書類の交付手数料や、郵送で申し出る場合の切手代などは必要です。
4.法定相続情報一覧図の写しが発行される
法務局で法定相続情報一覧図と必要書類を提出すると、登記官がその内容を確認します。提出書類の不足や誤りがないことが確認されれば、法定相続情報一覧図の写しが発行されます。
法定相続情報一覧図の写しは偽造防止対策がされた専用の用紙で発行され、登記官による認証文や写しの発行年月日などが記載されます。
申請後に相続人の範囲が変わった場合
次のように、被相続人の死亡時にさかのぼって相続人の範囲が変わる場合は、当初の申出人が改めて申し出ることができます。
・被相続人の死亡後に子の認知があった場合
・被相続人の死亡後に胎児が出生した場合
・一覧図の写しが発行された後で相続人の廃除があった場合 など
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