
コロナ禍からの経済回復の矢先、世界的な高インフレが訪れています。今年、東京で行われたDatasite主催のパネルディスカッションでは、専門家たちによって日本のM&Aの最新状況と、この先の日本のM&Aを牽引する投資テーマ、トレンドそしてリスクと課題について活発な論議が交わされました。その要点をまとめてレポートします。※本記事は、Datasite日本責任者・清水洋一郎氏の書き下ろしです。
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日本のM&A、クロージングまで相対的に長くなる傾向
規制当局のクリアランスに関して、国家の安全保障の観点が非常に強く、当局が大きな裁量権をもつため、プロセスのレビューが難しい状況になっています。また、過去の取引実績から、案件が成立するタイミングを予測することが非常に難しくなってきており、案件の発表からクロージングまでのタイムラインが、相対的に長くなっていくことでしょう。
2022年上半期における、世界のM&A活動は停滞し、2021年の同時期と比較し、金額は21%、取引件数で17%の減少というデータが出ています。ただし、技術・メディア・通信分野では、大きく伸びています。
大企業のカーブアウト、ゆるやかに増加へ
カーブアウト、つまり広い意味での事業売却は、来年・再来年にかけて爆発的にではなく、ゆるやかに増えていくことでしょう。
その要因のひとつはガバナンスです。単純に収益性が悪い事業を売却するのではなく、収益性の高い事業でも、将来の投資に対して優先順位をつけられない場合は、売却する方向での議論がされています。
日本企業は海外事業売却のタイミングか
円安だからといって、アウトバウンドの案件を見送ったり、一旦凍結したり、案件を進めない、というようなことはありえないでしょう。
特に、テクノロジー業界においてはスピードが命であり、少しでも遅れてしまうと、他社に買収されてしまう可能性があります。ビジネス環境の変化に対応することも重要ではありますが、それ以上にスピード感を失わないということのほうが重要であるでしょう。
また、ここ数年で、ターゲットとなる企業のバリエーションが過去数年間と比較し、管理しやすい水準に落ち着いておりそういった企業との提携など何らかの取り組みを一緒にするチャンスも生まれています。
今後も、海外企業の買収に関する議論は続くことでしょう。外貨で強いキャッシュフローを買うという考え方もあるでしょう。一方で、日本企業の海外事業を売却するタイミングに来ているという見方もあります。
アメリカでは海外投資規制の動きがでてきています。例えば、本格的な導入はされていないが、半導体業界では、アメリカ国内の投資には助成金を出す代わりに、中国などに対する投資が制限される、ないしは中国メーカーに製造を委託するのが難しくなるというようなことも起きている。こういったベクトルはしばらく変わらないでしょう。
サプライチェーン問題、M&Aや戦略的提携で対処も
昨今のアメリカ・中国間の緊張や、ロシア・ウクライナ戦争などの世界情勢を考えると、あらゆる業界で直面するのがサプライチェーンの問題です。
ひとつの切り口として、自社製品やサービスのバリューチェーンあるいはサプライチェーンを総合的に見直し、その中で脆弱な部分やリスクがあれば、M&Aや戦略的な提携によって、補完・強化していく必要があるでしょう。
清水 洋一郎
Datasite 日本責任者
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