アメリカ発祥の「サプリメント」を用いた療法とは?
ひざ痛に悩む人なら、一度は「グルコサミン」と「コンドロイチン」という成分名を聞いたことがあるのではないでしょうか。この2つがひざ関節の痛み対策に用いられていることは、おそらく多くの方々が知るところだと思います。
私が初めて日本にグルコサミンを紹介してから、もうすぐ20 年になります。今では国内で年間約350億円もの巨大市場となり、新聞や雑誌、テレビコマーシャルなどでグルコサミンやコンドロイチンの広告を見ない日はないほどになりました。
しかし、これほど多くの人々にグルコサミンとコンドロイチンが認知された一方で、様々な誤解を受けているのもまた事実です。本連載では主に、研究データに基づく正しいグルコサミンとコンドロイチンの情報、およびこれらのサプリメントの摂取方法について説明していきたいと思います。
グルコサミンとコンドロイチンのサプリメントを用いた療法は、1995年にアメリカ・アリゾナ大学の医学博士ジェーソン・セオドサキス氏が著した“THE ARTHRITIS CURE”というベストセラー本がきっかけで世界的に有名になりました。
私はその頃、ちょうどアメリカ・サンディエゴの研究所で主任研究員として、軟骨損傷と修復のメカニズムについて研究していました。グルコサミンとコンドロイチンが詳細に記されたこの本を読み、一研究者として非常に興味を持ち、ぜひ日本にも紹介したいという一心で『こうすればひざ痛は治せる!』(1998年、同朋社。現在は絶版)という本を監修・翻訳しました。
アンケートで分かった「グルコサミン」の効果
当時はまだ日本でグルコサミンは知られておらず、サプリメントも全く流通していませんでした。せっかく本が出るのに実物がないのでは読者の方々に不親切なのではないかと思い、本の発売と合わせて、私の知人を介して何とかグルコサミンを輸入・販売できたという経緯があります。
そのため、本を出版した当時は非常に大きな反響をいただきました。また、その時グルコサミン、コンドロイチンを購入した216人の方々にアンケートを取ることができました。おそらく日本で最初のグルコサミンに関するアンケートだと思います(図表参照)。
アンケートでは、「グルコサミンとコンドロイチンを飲んで痛みが軽くなった」と回答した人が60%に達しました。また、「飲み始めてどのくらいで効果を感じたか」という質問には、8週間(2カ月)以内という人が約6割でした。
そして、痛みが変わった人に対して痛みの具合を質問したところ、以前の痛みが10とすると現在の痛みの程度は「0」または「1~3」と、大幅に軽減したと回答した人が半数以上もいたのです。
当時はまだ日本にグルコサミンとコンドロイチンについてのはっきりとしたデータはありませんでしたが、このアンケートを通じて、初めてこれらの成分についての反応が可視化できたと自負しています。
また私自身、グルコサミンを日本に紹介したものの、本当に効くのかどうか半信半疑であったのも事実です。このアンケートによって、グルコサミンが紹介するだけの価値のあるものと確信することができました。
【図表】 グルコサミン・コンドロイチンの服用後の効果