ストックオプション(SO)とはなにか
ストックオプションというのは、会社の役員や従業員があらかじめ定められた価格で将来会社の株式を取得できる権利のことで、会社法で規定される「新株予約権」の一種です。
通常、会社法上の「新株予約権」は第三者に対して郵送で発行する資金調達の手段のことを指します。
これに対し、将来の企業価値向上に応じた「インセンティブ・報酬」として、発行会社の役職員らに対し無償もしくは有償で発行される「新株予約券(コールオプション)」のことをストックオプションというふうにいいます。
たとえば、A社の現在の株価が1株100円だったとします。A社の社長がストックオプションの導入を決定し、社員に「今後5年間のあいだであれば当社の株式をいつでも1株100円(いまの価格)で購入できますよ」と伝えると、社員らは経営努力を行い、会社の株価を1株300円の価値にしました。
この場合、現在300円の株価を1株100円で買うことができるため、すぐに売却をすれば行使価格(購入価格)100円と売却時の株価300円の「差額200円」が社員の利益となります。
ストックオプションを発行する「2つのメリット」
ストックオプションの発行をするメリットは、大きく分けて2つあります。
1.士気・モチベーションアップ
1つは、従業員や役員の士気・モチベーションアップです。
従業員や役員らに直接株式(生株)をあげるのではなく、事業への貢献度に応じてリターンが得られるように設計したストックオプションを発行することによって、「自分たちが頑張って働けば働くほど企業価値が上がり、自分の持つストックオプションの価値も上がる」ということがモチベーションにつながります。これは、「目の前の人参効果」ともいえます。
会社側としては、付与された役職員らが株価や業績に対して強い達成責任を持つため、株価等への効果というのが期待できます。
2.優秀な人材採用への活用
もう1つは、優秀な人材採用にも活躍することができるということです。これは、ベンチャー企業が人材採用するうえでの魅力の1つともいえます。
会社が成長する前段階においては、優秀な人材を確保したくてもその人材に多額の給与を出すことができないというような会社も存在するでしょう。
そこで、事業の成功見込みがあるという下準備さえしっかりできていれば、いまは多額の給料を出せずとも、会社の将来の企業価値向上を担保に、優秀な人材に対してストックオプションを付与することで、優秀な人材採用に貢献できます。
人材側からしても、「多額の給料をもらえなくてもストックオプションをもらえるのであればジョイントとしてもいいかな」と考える方も当然いるでしょう。
いまは資金がなくても将来の企業価値向上が見込まれれば、ストックオプションを活用することで優秀な人材確保が可能となるのです。