5月以降の利上げは累計3%に
■12月6日、豪州準備銀行(RBA)は政策金利である翌日物金利の目標を0.25%引き上げて3.10%としました。今年5月に開始された利上げは8回目となり、利上げ幅は合計で3.00%に達しました。会合の前週に発表された10月の小売売上高が減少に転じ、消費者物価指数(CPI)も市場予想を下回る上昇となったことから、市場では緩やかな利上げペースを維持するとの見方が多く、今回の0.25%の利上げは、ほぼ予想の通りでした。
良好な雇用環境を背景に、堅調な消費が経済成長を支えている
■12月7日に発表された豪州の7-9月期の実質GDP成長率は、前期比+0.6%と4-6月期の同+0.9%から小幅に減速しました。需要項目別では、家計消費や民間投資、在庫の項目がプラスの寄与となりました。中でも家計消費は、飲食や宿泊、旅行関連など、新型コロナ規制からの経済再開に伴う消費が上昇に寄与しました。今後、これまでの利上げの効果が発現してくるにつれて家計消費も緩やかに減速してくると考えられますが、雇用が安定していることや、足元でやや貯蓄率が減少しているものの依然過剰貯蓄が積みあがっていることから、今後も消費は底堅いと見られます。
今後の展開:今後も豪ドルは底堅い見込み
■RBAは声明文で、豪州のCPIは高すぎると言及しており、今後も利上げが見込まれます。ただし、金融政策の影響が顕在化するまでにタイムラグがあると指摘しています。このため、次回来年2月の会合以降、あと1回程度の利上げが行われた後は、政策金利は据え置かれると見られます。足元では、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースの減速が意識されて急速に円高が進んだことで、豪ドルの対円レートも直近のピークからは円高方向となりました。RBAも欧米の主要中銀も来年前半には継続的な利上げから様子見姿勢に転じると見られる中、今後も豪州経済は底堅いと考えられ、豪ドルも比較的堅調な推移が見込まれます。
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三井住友DSアセットマネジメント株式会社