【確定申告直前】所得税の計算方法…課税所得金額の算出と損益通算・所得控除までの流れ (※写真はイメージです/PIXTA)

納付する所得税額を計算するには、10種類に分かれた所得の合計から、損益通算・所得控除・税額控除を行うという、一連の作業が必要です。ここでは、それらの流れを追いながら所得税額を算出する手順を見ていきましょう。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

各種所得金額と損益通算で「合計所得金額」を計算

①所得金額を計算する

第1段階は各種所得金額の計算です。

 

所得は、性質によって10種類に分かれます(『確定申告直前…「所得税の基本」と「所得金額の考え方」を学ぶ』を参照)。それぞれの所得について、収入や必要経費の範囲、所得の計算方法が定められています。

 

②損益通算を行う

次に、損益通算を行います。

 

損益通算とは、総合課税の所得、すなわち、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、雑所得、土地・建物等以外の譲渡所得、一時所得について、所得金額を合算することで、黒字と赤字を相殺することをいいます。

 

この合計を総所得金額といいます。

 

なお、土地・建物等以外の譲渡所得と一時所得については、2分の1を乗じた金額を合算することとなっています。

 

これに対して、分離課税の所得は、上場株式を除いて損益通算は行いません。

 

③純損失の控除または繰越し

ここから、純損失の控除または繰越しを行います。

 

損益通算した後に赤字が残ってしまう場合、この金額を「純損失」といいますが、これは翌年以後3年間にわたって、所得から控除できることがあります。

 

前年度から繰り越された純損失があれば、この段階で控除するのです。

 

こうして算出されたものが、合計所得金額です。

 

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「課税所得金額」を計算する

合計所得金額が算出できましたら、そこから「所得控除額」を控除します。所得控除とは、納税者の個人的な事情を考慮して税金の負担の大きさを調整するものです。

 

所得控除には、下記の15種類あります。

 

①雑損控除  ②医療費控除  ③社会保険料控除  ④小規模企業共済等掛金控除  ⑤生命保険料控除  ⑥地震保険料控除  ⑦寄附金控除  ⑧障害者控除  ⑨寡婦控除  ⑩ひとり親控除  ⑪勤労学生控除  ⑫配偶者控除  ⑬配偶者特別控除  ⑭扶養控除  ⑮基礎控除

 

これらは合計所得金額から控除しますが、所得控除額のほうが大きかった場合には、それを分離課税の所得から控除することができます。

 

総合課税の所得について、所得控除を行って算出された金額を「課税所得金額」といいます。

 

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【所得税】所得税の計算の流れ!課税所得金額から損益通算・所得控除まで

「税額」を計算する

最後に税額の計算です。

 

税額は、課税総所得金額に累進課税の税率を掛けて計算します。

 

累進課税とは、所得が多くなるに従って段階的に高くなり、納税者がその支払能力に応じて公平に税を負担するしくみです。

 

[図表]累進課税の税率

 

分離課税の所得については、これとは別の税率を掛けます。土地建物や上場株式の譲渡所得であれば、一律15%です。住民税5%と復興特別所得税を合算しますと、20.315%となります。

 

そして、これらの税額を合算した算出税額から税額控除を行います。配当控除を行うこともあります。

 

これで今年度の納付すべき所得税額が計算できました。ただし、所得税の前払いである源泉徴収税額や予定納税額があれば、すでに納付済みです。

 

これらを差し引いた金額を確定申告のときに納付します。

 

なお、2037年12月31日までの所得税額に対して、2.1%の税率を乗じて計算した復興特別所得税が所得税に上乗せされます。

まとめ

今回は、所得税の計算方法について学習しました。絶対に間違ってはならないのは、総合課税と分離課税の区別です。

 

総合課税の所得は、損益通算を行ってから合算し、所得控除の後に、累進課税の税率をかけて税額を計算します。

 

これに対して、分離課税の所得は、損益通算は行わず、合算もせずに、所得ごとに15%の税率をかけて税額を計算します。

 

これをしっかりと覚えておきましょう。

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

 

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    公認会計士/税理士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

    平成28年度経済産業省中小企業庁「事業承継ガイドライン委員会」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施策研究調査会「事業承継支援専門部会」委員、東京都中小企業診断士協会「事業承継支援研究会」代表幹事。
    一橋大学大学院修了。中央青山監査法人にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルスマネジメント営業部、みずほ証券投資銀行部M&Aアドバイザリーグループ、メリルリンチ日本証券プリンシパル・インベストメント部不動産投資グループなどに在籍し、中小企業の事業承継から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業承継とM&A実務を遂行した。現在は、相続税申告と相続・事業承継コンサルティング業務を提供している。

    WEBサイト https://kinyu-chukai.com/

    著者紹介

    連載ベテラン公認会計士が解説!「タックスプランニング」の基本

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