(※写真はイメージです/PIXTA)

個人の「所得」に対して課される「所得税」。じつは所得には10種類あり、個人は受け取った収入がそのうちのどれに該当するのかを理解しなければなりません。また、その所得に認められる必要経費のほか、「総合課税」「分離課税」についても知っておく必要があります。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

「税金の種類」を整理しよう

税金は、課税する側から分けると、国が課税する「国税」と、地方公共団体が課税する「地方税」に分けることができます。

 

所得税、法人税、相続税、贈与税などは国税で、住民税や固定資産税などは地方税です。

 

また、税金は、納税義務者と実際に税金を支払う人との関係から分けると、「直接税」と「間接税」に分けることができます。

 

直接税とは、納税義務者と税金を支払う人が一致する税金をいいます。

 

一方、間接税とは、納税義務者と税金を支払う人が異なる税金をいいます。

 

たとえば、消費税は、消費者が支払うものですが、その税金は売買価格に含まれていますから、納税義務者は、製造業者、卸売業者、小売業者などの各事業者となります。

 

★年金にかかる税気についてはこちらをチェック

【年金と税金】年金受給と税金を網羅!不安を完全解消します【FP3級】

所得税の基本…「収入」と「所得」はイコールではない

★「所得」の概念 

 

所得税とは、個人が1年間に稼いだ所得に対して課される税金です。多くの人が勘違いしていますが、「収入」と「所得」は同じではありません。

 

「収入」とは、売上や給料、報酬などのことをいいます。入ってくるお金のことを意味していますから、常にプラスとなります。しかし、収入を得るには、売上原価や人件費、広告宣伝費などの必要経費がかかります。収入から、これら必要経費を控除した残りの部分が手元に残る儲けとなりますが、これを「所得」といいます。必要経費が多くかかったとき、所得はマイナスとなることもあります。

 

ただし、生活するために必要な家事費は、収入を得るための必要な費用ではないため、必要経費には入りません。

 

サラリーマンであれば月々の給料やボーナスが、個人事業主であれば、売上高が収入です。

 

これを1年ごとに集計して所得を計算し、これに税率を乗じることによって、各個人の所得税が計算されます。

 

★所得税の納税義務者と、住所による納税義務の範囲 

 

所得税の納税義務者は、原則として個人ですが、その住所が国内にあるかどうかによって、納税義務のある範囲が異なります。

 

①居住者かつ永住者の納税義務

所得税の納税義務者は、居住者と非居住者とに区分されます。居住者とは、国内に住所があるか、または国内に1年以上居住している場所がある個人をいいます。居住者には、国内と国外を問わず、所得のすべてに納税義務があります。

 

②居住者かつ非永住者の納税義務

居住者のうち、非永住者については、納税義務の範囲が異なります。非永住者とは、居住者のうち、日本国籍がなく、過去10年間のうち5年以下の期間しか国内に住所または居所がない人のことをいいます。非永住者には、国内において生じた所得、国外において生じた所得のうち、日本国内で支払われた、または外国から送金されたものについて納税義務があります。

 

③非居住者の納税義務

居住者以外の個人を非居住者といいます。非居住者は日本国内で生じた所得についてのみ納税義務があり、国外で生じた所得については納税義務を負いません。

 

★非課税所得とは 

 

いわゆる個人の所得のなかでも、法律上、所得税が課されないものがあります。これらを非課税所得といいます。

 

たとえば、投資信託の元本払戻金、職務遂行のための旅費、通勤手当のうち月額15万円まで、相続、遺贈または個人からの贈与によって取得したもの、損害賠償のために受け取る保険金、傷病者や遺族が受け取る年金、宝くじの当せん金などは、非課税所得となります。

 

★所得税の基本・計算方法はこちらをチェック

【所得税】所得税の基本!納税義務者・非課税所得から各種所得金額の計算手順まで

10種類ある「所得」の一覧表

★各種所得金額の計算 

 

まず、所得を10種類の所得に分類し、各所得の金額を求めます。

 

お金の稼ぎ方は、たとえば、賃貸アパートの家賃、資産運用による利子や配当、勤労による所得、事業経営による所得、不動産の譲渡による所得など様々なものです。

 

これによって「何もしないで稼いだお金」「働いて稼いだお金」「定期的に入ってくるお金」「長い年月かかってようやく入ってくるお金」「臨時的に入ってくるお金」など、所得の性質も違ってきます。

 

このような違いに応じて、所得を得た納税者が税金を支払う能力も異なってくるでしょう。

 

そこで、最適な所得金額の計算をおこなうために、所得は下記の10種類に区分されています。

 

◆所得には10種類ある

①利子所得

②配当所得

③不動産所得

④事業所得

⑤給与所得

⑥退職所得

⑦山林所得

⑧譲渡所得

⑨一時所得

⑩雑所得

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

 

★老齢基礎年金の基本知識はこちらをチェック

【老齢基礎年金】受給要件や年金額は?付加年金まで【FP3級】

 

 

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