(※写真はイメージです/PIXTA)

生命保険の契約時には、営業担当者が懇切丁寧に対応してくれますが、人任せは厳禁です。保険契約は高額な金融商品です。自分で正確な理解をせずに契約を進めると、あとから大きな問題が生じかねません。契約申込み・告知という流れはもちろん、第一回目の保険料の払込みで契約の責任が開始されるといった点も把握しておきましょう。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

生命保険の契約手続きの流れ

★保険約款 

 

生命保険契約におけるお互いの権利義務を規定しているものが、「保険約款」です。そのなかでも特に重要な部分をわかりやすく解説したものが「ご契約のしおり」です。

 

生命保険の申込みを行うときには、必ず「保険約款」「ご契約のしおり」のほか、「契約概要」や「注意喚起情報」が手渡され、保険募集人から重要事項の説明を受けます。

 

保険募集人から説明を受ける重要事項とは、告知義務・告知義務違反、責任開始期、クーリング・オフ制度、保険会社が経営破綻した場合の契約保護の仕組み、重大事由による解除、保険金・給付金を支払わない場合などの事項をいいます。

 

そして、意向確認書などによって、申し込む保険の保障内容が、契約者の意向に合っているかどうか確認します。

 

★告知 

 

生命保険の申し込みを行う際、保険事故の発生の可能性に関する重要な事項のうち、保険者が求めたものについて、告知をしなければなりません。これを、告知義務といいます。

 

告知する内容は、被保険者の職業や最近の健康状態、病歴、身体の障害などがあります。都合の悪い内容であっても、必ず書面をもって事実を告げなければなりません。

 

ただし、保険金が高額となる場合には、告知に加えて、医師による診査が必要な場合があります。

 

診査がなく告知のみで契約を行うことを「告知書扱い」、告知に加えて医師の診査をして契約を行うことを「診査扱い」といいます。

 

このような告知や診査が義務とされているのは、たとえば健康な人だけが加入している保険に、すでに病気になった人が加入すると、加入後すぐに保険金が支払われることになり、他の加入者との間で不公平が生じるからです。

 

それゆえ、災害や事故にあいやすい職業の人、病気になる可能性が高い人などは生命保険に加入できないか、加入ができても特別な条件が付けられることになります。

 

★高額医療費制度についてはこちらをチェック

「医療費は上限あり!高額医療費制度で安心しよう」出産一時金・出産育児一時金・傷病手当金・埋葬料について】

 

★契約の責任開始期 

 

保険会社が、保険契約上の責任、つまり保険金の支払い義務が発生する日を「責任開始期」といいます。

 

責任開始期は、保険会社の承諾を前提として、「保険契約の申込み」、「告知または診査」、「第1回保険料の払込み」の3つがすべて完了した日となります。

 

★クーリング・オフ 

 

クーリング・オフ制度とは、保険契約の締結をしてしまった人に、その解除を認める制度です。

 

保険契約者は、申込日または「契約申込みの撤回などを記載した書面の交付を受けた日」のいずれか遅い日を含めて8日以内であれば、書面によって契約を解除することがでます。

 

この場合、既に払い込んだ保険料は返却してもらえます。ただし、保険会社所定の医師の診査を受けた場合は、解除することができません。また、法人が契約する保険契約は、クーリング・オフの対象となりません。

 

そして、保険契約者が保険会社の営業所、事務所などに自ら訪問して、保険契約の申込みを行った場合にもクーリング・オフの対象となりません。

 

★保険契約の手続きについてはこちらをチェック

【申込み手続き】保険契約の手続きの流れを学ぼう【FP3】

保険料の払込み

★保険料の払込方法 

 

保険料の払込方法には、月払い、半年払い、年払い、一時払い、前納(一括払い)などがあります。

 

★一時払いと前納 

 

なお、全保険期間分の保険料をまとめて払い込むことを、全期前納といいます。

 

一時払いと全期前納とでは、全保険期間分の保険料をまとめて払い込む点で共通しています。

 

しかし、一時払いと前納とでは、契約が中途解約された場合に取り扱いが異なるので、注意が必要です。

 

一時払いをすると、契約が中途解約された場合に、未経過分である残りの期間の保険料は返還されません。

 

これに対して、前納であれば、契約が中途解約された場合に、払込期月がきていない保険料は払い戻されます。

 

また、保険事故が生じて契約が消滅した場合、一時払いであると保険料の払戻しはありません。

 

これに対して、前納であれば、保険金が支払われるとともに、未経過分の保険料が払い戻されます。

 

さらに、確定申告の生命保険料控除について、一時払いであると保険料を支払った年度しか控除を受けることができません。

 

これに対して、前納であれば、毎年控除を受けることができます。

解約

保険契約者は、いつでも契約を打ち切ることができます。これを解約といいます。

 

解約すると、保険の種類や加入年数に応じた解約返戻金が支払われ、保険契約は消滅します。

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

 

★厚生年金は繰り下げ受給すべきかどうかはこちらをチェック

【老齢厚生年金】繰下げ受給すべきか!?在職老齢年金をもらうのはどうか?【FP3級】

 

 

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