もはや年金だけで生活するのは難しい
総務省「家計調査報告」から高齢夫婦の家計を見てみましょう。2021年のデータによると、実収入から非消費支出(税・社会保険料等)を差し引いた可処分所得20万5911円に対して、消費支出(生活費)は22万4436円で、毎月1万8525円のマイナスです。
また、65歳以上の単身無職世帯の家計をみると、可処分所得約12万3074円に対して、消費支出は13万2476円で、9402円のマイナスです。
夫婦高齢者無職世帯の生活費の内訳を見てみましょう。
食費が29.3%ともっとも多く、支出全体の4分の1以上を占めています。ちなみに、食料費は外食を含みます。保険医療費や教養娯楽費、交際費を含むその他の商品支出は勤労世帯よりも割合が高くなっています。「食料費」と「その他の消費支出」で支出全体のほぼ半分を占めています。
以前、「老後2000万円問題」が話題になりました。老後資金が2000万円足りないというのは、総務省統計局の「家計調査報告」から導き出された数字です。高齢夫婦無職世帯の家計収支の2017年でのデータによると、収入は20万9198円、可処分所得は18万958円、消費支出は23万5477円です。毎月の不足分は5万4519円。この不足部分を30年間埋めるために必要なお金が約2000万円なのです(毎月の不足分5万4519円×12カ月×30年=1962万6840円)。
この数字が、老後2000万円不足するという根拠になっています。ただし、この2000万円は「家計調査報告」の平均数字です。また持ち家の夫婦のデータなので、賃貸の夫婦には当てはまりません。
さらにコロナ禍の2020年の「家計調査報告」のデータによると、収入は25万5660円で、可処分所得は22万5501円、消費支出は22万4390円です。毎月の不足分は…、いえ1111円の黒字です。年間1万3332円貯蓄できるまで、家計が改善されました。
「老後2000万円問題」が話題になると、年を追うごとに家計の収支改善が進んできたのは事実です。
ただ、この2020年の数字には明らかに特殊事情があると考えるべきです。2020年は新型コロナウイルス感染症による影響で、消費支出が減る一方で、特別定額給付金による収入が増えたことが黒字転換の要因と考えるべきでしょう。
実際に2021年は再び高齢者世帯の家計は赤字に転落して、1万8525円の不足が生じています。これを30年分を計算すると、666万9000円の老後資金が必要になります。2000万円の赤字より改善はしていますが、老後資金なしには生活できない実態が明らかになっています。
GGO編集部
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