リベンジ消費で旅行者増
【12/7(土)開催】
従来の分散投資で資産を守れるのか?新時代の富裕層が実践する
金融大国「シンガポール」や「フィリピン永住権」を活用した新・資産防衛法
フィリピン航空局のデータによると、2022年第3四半期の国内旅行は、台風シーズンの到来や燃料代(サーチャージ)の上昇にもかかわらず、好調を維持しています。国内線旅客数は620万人に達し、2020年1年間の旅客数690万人に迫る勢い。1~9月の累計では、国内線旅客数は1590万人となり、2021年1年間の旅客数比188%増、2020年1年間比131%増と大幅増となりました。
これからクリスマスシーズンを迎え、フィリピンでは消費や旅行が1年で最も盛り上がるシーズンを迎えるわけですが、コロナ前の2019年に記録した年間2950万人の国内旅客数には、まだ及ばない状況です。国際線は未だ低調で、1~9月の9ヵ月間合計の旅客数はわずか630万人にとどまりました。それでも、2021年年間合計の220万人からは大きく改善し、2020年年間の620万人もすでに上回っています。
しかし、パンデミック前の年間旅客数3050万人の5分の1程度に止まっています。これは、中国のロックダウンによる国境閉鎖に起因するところが大きいです。コロナ前の2019年のインバウンド旅行客総数のうち、中国人旅行者は21%を占めていました。
コロナ前インバウンド旅行客の上位5ヵ国は中国、韓国、米国、日本、台湾でした。中国以外の4ヵ国のうち、第三四半期末時点で、海外旅行の規制を自由化していたのは、米国と韓国です。日本と台湾は第4四半期初めに海外旅行が再開されました。
国内線、国際線市場の動向
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セブパシフィックは、フィリピン国内線市場で大きなシェアを継続しています。さらに国際線の便数やフライト先を大きく増やすことを視野に入れています。第三四半期末時点で、セブパシフィックは国内線旅客数の58.0%のシェアを占めています。
一方、フィリピン航空の市場シェアは25.7%と、セブパシフィックを大きく下回っています。国内貨物輸送量(カーゴ)の市場シェアでは、セブパシフィックの42.0%に対し、フィリピン航空が43.2%のシェアを獲得し、若干上回っています。
そして、国際線旅客市場では、フィリピン航空が34.2%のシェアを占め、セブパシフィックは4.0%に止まっています。しかし、セブパシフィックはこの差を縮めルべく、国際線の便数を増やす戦略です。具体的には、ブルネイ、ジャカルタ、ソウル、台北、香港への国際線をホリデーシーズンに合わせて増便しています。
国際貨物市場での市場シェアは、セブパシフィックの9.1%に対し、フィリピン航空は12.5%でした。
まとめると、国内・国際を合算した旅客市場のシェアでは、セブパシフィックが42.7%、フィリピン航空が28.1%となりました。国内・国際を合算した貨物市場のシェアでは、セブパシフィックが19.3%に対し、フィリピン航空は22.0%と拮抗しています。決算報告の数字では見えないのですが、企業力としては、セブパシフィックがフィリピン航空を上回っていると見られています。
航空各社の業績・決算と見込み
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セブパシフィックは、2022年1~9月の9か月累計で121億ペソの純損失を計上しました。前年同期の純損失220億ペソからは大きく改善しました。一方、フィリピン航空は、第3四半期に68億ペソの純利益を計上し、前年同期の218億ペソの損失から黒字転換しました。しかし、フィリピン航空は、コロナ禍で申請した民事再生の一部である救済措置の恩恵をまだ受けているため、公表ベースの決算数字で単純に比較するのは、フェアではありません。
たとえば、フィリピン航空は、航空機のリース契約について、民事再生プログラムのパッケージとして、減額措置が認められています。ただ、この救済措置は2022年末には失効するので、2023年からは通常のリース料を支払うことになります。
一方、セブパシフィックは帳簿上では赤字ですが、救済措置の恩恵にあずかることなく、こうした逆風をうまく乗り切っています。そして、実際に、国内旅客市場ではフィリピン航空を圧倒しています。競争力のある価格設定により、海外旅行における市場シェアも増やして行くものと見られています。
フィリピンの著名財閥オーナーであるGokongwei氏率いる格安航空会社(LCC)・セブパシフィックは、フィリピンのフラッグキャリアであるフィリピン航空よりも回復の波に乗るのによい位置にいると考えられます。