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「大企業」よりも「中小企業」にこそ必要
働き方改革は中小企業にこそ必要です。なぜなら、国内雇用の約7割を担っているのが中小企業だからです。しかし、中小企業の労働生産性は低く、「中小企業白書2018」によると時間あたりの労働生産性は、全7業種において中小企業が大企業よりも低い水準です。いいかえれば、「中小企業は労働生産性が低い」という点にほかなりません。
国内雇用の約7割を占める中小企業の労働生産性の低さは国全体にも影響し、2018年のOECD加盟国における日本の労働生産性は21位となっています。このように、日本は中小企業の働き方を見直し労働生産性を高めなければ、世界での競争力を失いかねません。これらの理由から、中小企業では生産性の改善につながる働き方改革の必要性が高いのです。
中小企業が抱える深刻な問題
先に挙げた労働生産性だけに限らず、中小企業には問題が山積みです。今後、少子高齢化によって日本国内の生産年齢(15~64歳)人口の総数は、確実に減ります。国立社会保障・人口問題研究所の人口推計によると、2015年には7,728万人だった生産年齢人口が50年後の2065年には3,199万人マイナスの4,529万人となります(2017年推計、出生中位推計)。
50年で3,199万人の生産年齢人口が減少するということは、単純計算すると1年で約64万人の生産年齢人口が日本からいなくなることになります。このことはすべての日本企業に共通した問題ですが、人材の採用・定着・育成に課題がある中小企業にとっては大きな問題です。
参照:日本の将来推計人口(平成29年推計)|国立社会保障・人口問題研究所(PDF資料)
またコロナ禍前の調査では、人手不足が原因の倒産が右肩上がりで増えていました。帝国データバンクの調査によると、従業員不足による収益悪化などが原因となった倒産(人手不足倒産)は、2019年1~12月に185件発生していました。前年2018年が153件でしたので32件増(20.9%増)という結果でした。
参照:「人手不足倒産」の動向調査(2019年1~12月)|帝国データバンク(PDF資料)
生産年齢人口の総数が減り続けるということは、人手不足倒産の増加傾向は今後も続くと考えられます。特に人が集まりにくい中小企業にとって、人手不足が原因の倒産危機は大きな問題です。労働生産性の向上と人手不足による倒産の回避は、働き方改革が鍵を握っています。以下では、働き方改革の実施で期待できる効果について解説をします。