65歳になると「老齢年金」の受給が開始される
K先生:今回は、高齢者夫婦の年金について説明します。夫婦が2人とも会社員として定年まで勤めあげ、現在、老齢年金をもらっているご夫婦を想定してみましょう。もし夫が先に他界したとき、妻の年金が驚くほど少なくなってしまうという、驚くべき事実をご存知ですか?
夫:そうなんですか! それでは、残された奥さんがお気の毒です…。
K先生:2人とも元気に生活していれば、老齢基礎年金と老齢厚生年金をもらっているはずです。老齢基礎年金の金額は、満額もらえるとすれば、1人当たり年間78万円で、月額6万5,000円くらいです。老齢厚生年金の金額は、収入の多さによって決まりますが、平均年収500万円くらいの人をイメージすれば、年間180万円、月額15万円くらいになるでしょうね。
夫婦:夫婦2人で年金を月に20万円ちょっともらえるわけですね。贅沢な生活はできませんが、それほど苦しい生活ではないですね。
K先生:年金の受給は65歳がスタートです。夫が65歳になると年金をもらうことができるようになります。下記の図表1を見てください。この例では、妻は63歳ですから、夫1人の年金で夫婦の生活をまかなわないといけません。
妻:それでも、老齢厚生年金がもらえるだけ、自営業の方より年金額は大きいですよね。
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妻も65歳になると「2人分の老齢年金」がもらえる!
K先生:その後、妻が65歳になると、妻も老齢基礎年金と老齢厚生年金をもらえるようになります。老齢基礎年金は、夫と同額の月6万5,000円くらいですが、老齢厚生年金は、夫のように定年60歳まで働いていなければ、その分だけ少なくなります。ここでは月3万3,000円くらいだと考えましょうか。
妻:定年まで共働きだと、老齢厚生年金をダブルでもらえるんですね…えーっと、合算すると、32万円! 毎月こんなに年金をもらえるんですか!? これだと、老後の生活費を心配する必要がありませんね。
夫が先に他界すると、老齢年金が激減するワケ
K先生:しかし、夫が死んでしまうと、夫がもらっていた老齢基礎年金はゼロ、老齢厚生年金もゼロになってしまうんです。
夫:えっ、半減ですか! それでは妻が生活に困ってしまいますよ!
K先生:そうですね、それでは生活が苦しくなるので、妻は、遺族厚生年金が支給されることになるんです。
夫:そうすると、妻は、老齢厚生年金と遺族厚生年金の両方がもらえるのですか?
K先生:そうなんですが、満額もらえるわけではありません。3つのパターンの金額を計算して、そのうち最も高い金額が自動的に選択されることになるのです。
夫婦:難しそうですね!
パターン①妻の老齢厚生年金がそのまま支給
K先生:1つは、妻の老齢厚生年金がそのまま支給されるケース(パターン①)。現役時代に妻の稼ぎのほうが大きかった場合には、この金額となりますね。
妻:うちは該当しませんね。
パターン②夫の老齢年金の4分の3が支給
K先生:2つ目は、夫の老齢厚生年金の4分の3となるケース(パターン②)。たとえ4分の3であっても、妻の老齢厚生年金よりも多い場合がありますよね、ほとんどのご夫婦はこのパターンが該当します。
夫:うちはこのパターンでしょうね。
パターン③夫の老齢厚生年金の半分+妻の老齢厚生年金の半分
K先生:そして、3つ目は、夫の老齢厚生年金の半分と、妻の老齢厚生年金の半分を合算した金額です(パターン③)。仮に、夫の老齢厚生年金の金額が135万円だとすると、妻の老齢厚年金40万円を差し引いた残額95万円が遺族厚生年金として支給されるのです。
妻:そうすると、妻はいくら年金をもらえるようになるのですか?
K先生:老齢基礎年金が月に6万5,000円、老齢厚生年金が3万円ちょっと、遺族厚生年金が8万円、合計すると18万円くらいですね。
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「配偶者が亡くなった場合の年金額」を理解しよう
夫:夫が元気だった頃は2人で32万円でしたから、4割くらい減額されてしまうんですね。遺族厚生年金が出るとしても、妻の生活は苦しくなるでしょうね。
K先生:そうですね。65歳以上のご夫婦の場合、これに驚かれるケースが多いようなんです。しっかりと理解しておくべきですね。
岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士
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