【メンタルノイズ】身分不相応に稼いではいけない
お金と自己肯定感には、密接な関係があります。収入の額は、自分で自分を肯定している度合いに比例している、と言っても過言ではないでしょう。
前述したとおり、自己肯定感は天秤のような働きをします。天秤の左側に自己肯定感が乗っているとしたら、右側にはそれに見合ったものしか乗りません。
自己肯定感以上のものが乗ると、バランスを崩して自分を見失ってしまいます。
例えば、「自分は年収500〜600万もあれば十分かな」と思っていると、その金額を稼ぐことで満足します。もっと稼ぐ能力があっても、500〜600万円稼ぐと自己肯定感とのバランスがぴったり取れるため、それ以上は稼ごうとしません。自分はこの程度だと見限って、給料が安い会社を選んでしまうのです。
このメンタルノイズはどこから来るかというと、親や学校の先生から聞いた「ほどほどが一番」「上ばかり見てもキリがない」「身の程を知る」といった言葉です。
大金が手に入ると心理的なトラブルを招く
このメンタルノイズが強い人は、ビジネスで成功して1000万円などまとまった金額が入ってきたときに、天秤のバランスが崩れてしまいます。
表面上は、「やったー!」と喜んでいるのですが、潜在意識では「うわ、本当に成功してしまった。怖い…」とパニックに陥ります。
そして、「自分がこんな大金を手にしていいのだろうか」と不安になり、その心理的な重圧に耐えきれなくて、夜の街などで散財したり、買い物依存症のようにブランド品を買い漁ってしまうのです。
実は、かつての私もそうでした。ライターとして独立したころ、まとまったお金が入ってくるようになったのですが、自分が本当に欲しいものではなく、お金持ちが買いそうな時計やブランド品にお金を費やしていました。
お金をたくさん稼ぐ自分には価値があり、稼げない自分には価値がないと思い込んでいて、今思えば自己肯定感と収入のバランスが取れていなかったのでしょう。
宝くじで高額当選した場合も、急激に自己肯定感とのバランスが取れなくなってパニック状態に陥りがちです。散財するだけでは心が落ち着かず、上がった分以上に自分を下げようとして、当選金額以上を使ってしまうことも……。
せっかく大金を手にしても、なぜ心はいらぬトラブルを招くのか。
結局は、お金の受け取りを拒否しているからです。自分に、「大金を手にしていい」という許可を出せていないために散財してしまうのです。
なんとか大金を所持し続けようとすると、所持する許可が出せていない不安が強いため、家に防犯カメラをたくさん設置したりします。
病気やケガ、人間関係のもつれ、詐欺などのトラブルに見舞われやすいのも特徴です。大金の重みに釣り合うしんどい出来事を、心理的に招いてしまうのです。
中には、大金を手にしたことで自分にはビジネスの才能が凄くあるんじゃないか、と過信して、さらなる大金を集めるべく事業を始めたものの、失敗してしまう人も。
遺産相続で大金を手にして、親族間で骨肉の争いになる場合も、手にした本人に大金を受け入れる器がないために、心理的に重い出来事を招くケースです。