特に注目すべきは「業績の変化率」
『会社四季報』より速報性が強いのが、「決算短信」です。『会社四季報』は年4回発売されますが、会社によっては決算時期がずれるので、必ずしも最新のデータが掲載されているわけではありません。その弱点を補ってくれるのが会社が開示する「決算短信」です。
損益計算書や貸借対照表など、決算に関するデータがもっとも早く確認できます。本決算のあとに開示される「決算短信」のほかに、四半期ごとに開示される「四半期決算短信」(年3回)があり、決算日から45日以内に開示されるのが原則です。
1ページ目には、業績や財政状況、配当などの最新データが記されています。売上や営業利益以下の利益、配当の状況などが注目のポイントですが、とくに重要視したいのが前期と当期、当期と来期の業績(来期は予想)の変化率です。
配当についても「変化」に注目
配当についても同様に、その変化に注目しましょう。それまで配当ゼロだったのが、配当開始(あるいは復配<ふくはい>)だったり、配当の額が増えたり(増配<ぞうはい>)していたら、株価上昇の材料となります。
逆に、それまで配当があったのに配当ゼロになったり(無配転落<むはいてんらく>)、配当の額が少なくなったりしたら(減配<げんぱい>)、株価の下落につながります。
これらの情報を確認したら「経営成績・財政状況に関する分析」で今後の経営方針などを見ます。本決算のあとの決算短信には、「次期の予想」についても触れています。
【決算短信のここを見る】
【ワンポイントアドバイス】
企業の業績予想は、それぞれの企業が決算短信に掲載されますが、四半期ごとの短信発表の直前に、業績予想の「上方修正」「下方修正」が出されることがあります。
事前の予想とかけ離れた数値が出るときに発表されます。「上方修正」は株価にプラス材料、「下方修正」はマイナス材料になります。
【ひとくちMEMO】
企業が発表する業績予想は、それぞれの企業や業種によって「強気」に出したがるところと「弱気」(保守的)に出したがるところとにわかれます。過去の業績予想の修正をチェックしてみるのもいいかもしれません。