投資家が注目すべきストラクチャーは?
フィーダーファンド
テクノロジーの進歩により、流動性がない、あるいは定期的な流動性を持つフィーダーファンドがウェブプラットフォームを通じて利用できるようになりました。
これらの新しいクローズドエンド型ファンドは、キャピタルコールスケジュールの仕組みや、機関投資家向けファンドよりも短い運用期間、低い最低申込金額など、特に個人投資家向けに設計されています。
セミリキッド
多くの重要な戦略開発がこの分野で行われており、セミリキッドの投資方法は、現在、プライベート・アセットの民主化において脚光を浴びているファンドストラクチャーです。
セミリキッドファンドが上場ファンドと一線を画すのは、申込金額の点です。これらのファンドでは、専門的なアドバイザーを通じて投資をする場合、最低申込金額が設定されていないことが多くなります。
申込と解約は、ファンドの純資産価値(NAV)ベースで行われます。そのため、流動性をセカンダリー市場に依存するクローズドエンド型ファンドに比べ、ボラティリティや市場ベータが排除され、取引価格が需給のダイナミズムに左右されることがありません。
また、ファンドには一定の閾値を超えると解約に制限がかかるゲート条項があり、上場クローズドエンド型ほどには流動性が高くありません。セミリキッドストラクチャーに関心がある顧客は、非流動性に対する懸念が強く、投入金額も少額となる傾向がみられます。
ファンドが流動性を提供する仕組みを明確に理解することは、このファンドストラクチャーに顧客の資金を配分するウェルスマネージャーにとって極めて重要です。
ファンド・オブ・ファンズ
ファンド・オブ・ファンズは、一時に比べると人気に陰りがみられますが、個人投資家がプライベート・アセットで十分に分散したエクスポージャーを得るための手段としては、依然として有効です。
最低投資金額は、規制動向によって異なります。一般的にはクローズドエンド型であるため、投資家は上場ファンドのような柔軟性は犠牲にしなければなりません。その性質上、投資期間は最長で5年程度あり、資金展開に時間がかかることが多くなります。
ファンド・オブ・ファンズもセミリキッドファンドも、ベンチャー・キャピタル、中小型バイアウトおよび大型バイアウトに投資することができます。
大規模な投資家は、内部リスクコントロールなどで、中小企業への投資に苦労することがありますが、ファンド・オブ・ファンズは「投資家の規模を縮小」することができます。
逆に小規模の投資家は、「規模を拡大」し、通常投資できるファンドよりも、多くの、大型ファンドにアクセスすることが可能になります。
ファンド・オブ・ファンズの分散効果は当然ながら高いため、オール・インコストも高くなります。ファンド・オブ・ファンズに関心があるのは、長期間にわたる資金運用が可能で、プライベート・アセットに幅広く分散投資を行いたい投資家になります。
シングルファンド投資
顧客がプライベート・アセットにアクセスするための最後のファンドストラクチャーの選択肢は、シングルファンドへの投資です。シングルファンド投資は、最低申込金額は他の選択肢と比べて高くなりますが、近年はその金額が低下してきています。
一方で、流動性プロファイルは大きく異なります。私たちは通常、投資家が10年以上の投資期間に対応できる場合にのみ、シングルファンドでのプライベート・アセット投資を提案しています。ファンドの期間は、投資期間と回収または分配期間から構成されます。
投資家によっては、シングルファンド投資は、長期間にわたって資金が固定される投資であると思われるでしょう。しかし、私たちは長年にわたり、顧客が必要としない流動性プロファイルを大規模なポートフォリオで維持している例を数え切れないほど見てきました。
シングルファンドにおけるもう1つのリスク考慮点は、ファンド・オブ・ファンズやセミ・リキッド・ビークルに比べ、分散性が低いということです。
しかしその分、全体的な手数料は低くなる傾向があります。大規模で洗練された投資家は、このシングルタイプのファンドにもっとも関心を示し、より高い投資収益率を得るために、より大きな集中リスクを喜んで引き受けることがわかっています。