「プライベート・アセット投資」の顧客層拡大へ
プライベート・アセットの民主化に関しては、これまでに多くの議論がなされてきました。
民主化とは、従来プライベート・アセット投資の主体であった機関投資家という顧客基盤を超えて、プライベート市場へのアクセスを拡大するさまざまな変化を総称したものです。一方で、テーマとしての民主化についての議論は適切な形で行われておらず、一部の投資家を混乱させている可能性があります。
民主化について書かれたものの多くは、それが革命の幕開けであるかのように述べていますが、私たちは、民主化はむしろ進化だととらえています。小規模な投資家は何十年も前から投資信託を通じてプライベート・アセットに投資してきました。しかし近年は投資方法の選択肢が増えており、今後もその傾向は続くでしょう。
多くの投資家はプライベート・アセットへの投資で利益を得ることができると確信しており、その資産配分の適切性がもっとも重要であることに変わりはありません。民主化とは単に、プライベート・アセットへの投資が、難しくなくなってきたことを意味しています。
「プライベート・アセット投資」の主なジャンル
続いて現在、プライベート・アセットに投資するために利用可能な、主なストラクチャーの概要を説明します。
各ストラクチャーによって独自の流動性プロファイルがあり、それに応じて投資内容、手数料、最低投資金額も異なります。これはあくまで情報提供を目的とするものであり、いかなる投資推奨等を意図するものではありません。
上場クローズドエンド型
前述の通り、上場クローズドエンド型(または投資信託型)プライベート・アセット・ビークルは、民主化された最初の選択肢として、長いあいだ君臨してきました。しかし、その後商品の開発がすすみ、ストラクチャーは近代化され、このストラクチャーが従来抱えていたいくつかの問題の解決がすすんでいます。
通常の市場環境における伝統的な投資信託(IT)の流動性は良好で、日中取引も可能です。この流動性の高さが、従来、多くの個人投資家や準富裕層の投資家への適合性を高める要因となってきました。
伝統的なITは、価格が純資産価値(NAV)とは無関係に変動する可能性があります。
投資家は、売却する場合、価格がNAVに対して(潜在的に大幅な)ディスカウントとなる状況に直面する可能性があります。多くの投資家は、取引価格と本源的価値の不一致を利用できる可能性に魅力を感じ、まさにこの理由からITストラクチャーを好みますが、これらの資産へ投資を決定する際には、この点を考慮する必要があります。
流動性を確保することは、過去にいくつかの問題を引き起こしました。不利な市場環境のために売手が反対サイドの買手を見つけることを妥協した例もあります。
このような問題は、適切なポートフォリオ構築と、時間軸やリスク選好度、流動的な資金アクセスの必要性など、個々の顧客の状況を十分に考慮することによって管理されるべきです。しかし、ここでは前述したように、重要な進展がみられてきました。