(※画像はイメージです/PIXTA)

11月10日、米国で10月のCPI(消費者物価指数)が発表されると、米ドルが対円で急落、土曜日までの2日間でおよそ8円の円高となりました。はたして「歴史的な円安相場」は151円をピークに終焉を迎えたのか、このまま「米ドル安・円高」が進むのか……マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が、過去の類似相場と比較しながら、米ドル/円について今後の動きと予想レンジを解説します。

1998年と今回の相場の「類似点」

これまでの説明でも分かるように、今回と1998年は米ドル/円の水準も良く似ています。単に為替相場の水準だけでなく、たとえば米ドル/円の5年MA(移動平均線)かい離率は、今回一時150円を超えて米ドル高・円安が進んだなかでプラス30%以上に拡大しましたが、1998年も同様でした(図表3参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表3]米ドル/円の5年MAかい離率(1980年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

要するに、1998年は、記録的な米ドルの「上がり過ぎ」の反動が、その後米ドル急落をもたらした一因と考えられたわけですが、その意味では、そんな1998年と同様に記録的な米ドル「上がり過ぎ」となった今回も、その反動から米ドル急落が広がるリスクは要注意ではあるでしょう。

 

1998年も今回も、記録的な米ドル「上がり過ぎ」が拡大するなかで、米ドル買い・円売りは利益率の高い取引として急増したと考えられます。

 

1998年の場合は、そんな米ドル高・円安が終了すると一転して米ドル安・円高に急激に振れたことから、米ドル買い・円売り取引で膨らんだ含み損の損失確定(米ドル売り)が米ドル急落を加速する一因になったと見られました。

 

今回の場合も、10日のCPI発表からほんの2営業日で約8円もの米ドル急落となったので、含み損を抱えた米ドル買いポジションを保有したままの投資家はいるでしょう。そういったポジションの手仕舞いに伴う米ドル売りが、米ドルを続落させるリスクには要注意です。

 

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