(※写真はイメージです/PIXTA)

FPは、顧客のマネープランに役立つ「係数」を学んでいます。それにより「100万円を3%で運用したら、10年後いくらになる?」「10年後に100万円の車を購入するには、3%の利率なら毎月いくら積み立てればいい?」等の質問に即時回答が可能なのです。一般の方々も、自分のマネープランがすぐ導き出せるよう、学んでおくことをお勧めします。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

ライフプランニングに必要な「6つの係数」とは?

ファイナンシャル・プランナーが、キャッシュ・フロー表の作成やライフプランの立案を行う際に活用する「6つの係数」があります。これを使うことで「これから毎月いくら貯蓄すればいいのか」「退職後の生活費としていくら取り崩すことができるのか」といった計算ができるのです。

 

係数とは、あらかじめわかっている金額を「1」とした場合に、求めたい金額がいくらになるのかを示すものです。

 

「わかっている金額×係数」という式により、求めたい金額を計算することができます。

 

ライフプランニングで必要となる係数は下記の6つです。

 

①終価係数

②現価係数

③年金終価係数

④減債基金係数

⑤年金現価係数

⑥資本回収係数

 

なお、これらの係数は利率によっても変動するため、利率ごとに係数を定めてから計算します。

 

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①終価係数…元本から将来金額を計算

終価係数は、金融資産で運用することを前提として、現在の金額が、将来どのくらいの金額になるのか計算するときに活用します。

 

たとえば、「定期預金100万円を利率3%の複利で運用すると、10年後にいくらになりますか?」といった質問に対して、終価係数を使って解答を得ることとができます。

 

将来の金額 = 現在の金額 × 終価係数

 

②現価係数…将来の金額から元本を計算

現価係数は、金融資産で運用することを前提として、将来の金額から現在の金額を割り戻す計算を行うときに活用します。

 

たとえば、「10年後に100万円を目標とする場合、利率3%なら今いくらの元金が必要ですか?」という質問に対して、現価係数を使って解答を得ることができます。

 

現在の金額 = 将来の金額 × 現価係数

 

③年金終価係数…積立金額から将来の金額を計算

年金終価係数は、毎年の積立金額から将来の合計金額を計算する際に活用します。

 

たとえば、「毎年10万円の貯蓄で10年後の子どもの教育資金を用意するなら、利率が3%の場合、いくら貯まりますか?」という質問に対して、年金終価係数を使って解答を得ることができます。

 

将来の合計金額 = 毎年の積立金額 × 年金終価係数

 

④減債基金係数…目標金額から積立額を計算

減債基金係数は、将来の合計金額から、毎年積立てすべき金額を逆算する際に活用します。

 

たとえば、「10年後に100万円の車を買おうと思っています。利率が3%のとき毎年いくら積み立てればよいでしょうか?」という質問に対して、減債基金係数を使って解答を得ることができます。

 

毎年の積立金額 = 将来の合計金額 × 減債基金係数

 

⑤年金現価係数…将来の年金額から原資を計算

年金現価係数は、将来の毎年の年金額から、そのために必要となる年金の原資を計算する際に活用します。また、年金現価係数は、毎年の返済額から借入可能額を計算する際にも活用します。

 

たとえば、「将来、毎年10万円の年金を10年間受け取りたい。利率3%の場合、いくらを元金として運用していればよいでしょうか?」という質問に対して、年金現価係数を使って解答を得ることができます。

 

年金原資 = 毎年の年金額 × 年金現価係数

 

⑥資本回収係数…年金の原資から将来の年金額を計算

資本回収係数は、年金の原資から、将来の毎年の年金額を計算する際に活用します。

 

また、毎年のローンの返済額を計算する際に活用します。

 

たとえば、「手元にある100万円を利率3%で運用しながら均等に取り崩す場合、毎年いくら受け取るとができますか?」という質問に対して、資本回収係数を使って解答を得ることができます。

 

毎年の年金額 = 年金原資 × 資本回収係数

 

★キャッシュ・フロー表の計算に必須!6つの係数についてはこちらをチェック!

「キャッシュ・フロー表の計算で使う6つの係数」現価係数・終価係数・年金現価係数・資本回収係数・年金終価係数・減債基金係数

まとめ

今回は、ライフプランニングで必要となる6つの係数、すなわち、終価係数、現価係数、年金終価係数、減債基金係数、年金現価係数、資本回収係数について解説しました。

 

係数そのものを暗記する必要はありません。また、計算式も暗記する必要はありません。

 

いまわかっている金額と、将来求めたい金額が、それぞれ毎年のキャッシュ・フローなのか、貯蓄の元本そのものなのか、それを区別することができれば、係数の意味を思い出すことができるでしょう。

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

 

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