極限状態の中、どんな困難なミッションも完遂する「諜報員」。その成功の秘密は、「成果が出る“型”」を頭の中に入れていることにあります。あらゆる仕事に応用できる、誰もが実践できる諜報員のテクニックを、上田篤盛氏の著書『超一流諜報員の頭の回転が速くなるダークスキル』(ワニブックス)より一部抜粋してお届けします。
ビジネスでは、時に目立つことも必要だろうが、「不必要なまでに目立つな!」ということだ。諜報機関では、オーバーアクションや成果を誇張する人物は排除されると言う。目立ちすぎると、周囲から妬まれ、反感を持たれ、足元をすくわれる。これでは、成果はなかなか出しにくい。
第二の鉄則は、「用心を怠らない」ことだ。人は、危険な状況が起きないとリスクの存在を忘れて、用心を怠るものだ。用心することは、言葉で言うほど簡単ではない。重要なことは、大きな危機に至るような小さなリスクを軽視しないことだ。
「ヒヤリ・ハット」と「ハインリッヒの法則」という言葉を聞いたことがないだろうか。いずれも重大な危機の一歩手前の状態に気をつけろという意味だ。「1件の重大事件の裏には、29件の軽微な事故と、300件の怪我に至らない事故がある」と言われている。これを軽視して、対策を取らなかったり、用心しなかったりすると取り返しのつかない大きな事故を招く。
これは、仕事においても言える。あるとき突然、大きな危機がやってきて、判断に苦慮することになるが、よくよく振り返ってみると、事前の小さな兆候はあるものである。事前の兆候を軽視してはならない。
上田 篤盛
株式会社ラック「ナショナルセキュリティ研究所」
シニアコンサルタント
株式会社ラック「ナショナルセキュリティ研究所」
シニアコンサルタント
元防衛省情報分析官。
1960年広島県生まれ。防衛大学校(国際関係論)卒業後、陸上自衛隊に入隊。2015年定年退官。
在職中は、防衛省情報分析官および陸上自衛隊教官として勤務。93年から95年まで在バングラデシュ大使館において警備官として勤務し、危機管理などを担当。情報分析官としての経験、独自の視点から執筆する著書は好評を博している。
『未来予測入門』(講談社)、『情報戦と女性スパイ』『情報分析官が見た陸軍中野学校』『戦略的インテリジェンス入門』『中国が仕掛けるインテリジェンス戦争』『武器になる情報分析力』『インテリジェンス用語事典(共著)』(いずれも並木書房)、『中国の軍事力―2020年の将来予測(共著)』(蒼蒼社)、『超一流諜報員の頭の回転が速くなるダークスキル』(ワニブックス)、『武器になる状況判断力 米軍式意志決定法とOODAを併用する』(並木書房)など著書多数。
現在、官公庁および企業において、独自の視点から「情報分析」「未来予測」「各国の情報戦」などに関するテーマで講演を行なっている。
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連載頭の回転の速さがカギ!ビジネスで成果を出すための「諜報員のダークスキル」