不動産が思うように売れず悩む売主たち
不動産需要は年々増す一方のいわば売り手市場ともいえ、売却を検討している不動産所有者にとってはこれ以上ない売却機会となっています。国土交通省が公表している不動産価格指数(令和4年3月版)によれば、2010年以降の不動産価格はほぼ右肩上がりで推移しています。2010年を基準とすると戸建て住宅はおよそ1.1倍、マンションに至っては1.8倍に迫る勢いです。
土地建物を探している方の多くが「もっと前に買っておけばよかった」と後悔するほどの、異常な需要過多を築いているのが現在の不動産取引市場です。
それにもかかわらず、「不動産屋に売却依頼したのに、まったく売れる気配がない」「買い手候補から申し込みがなく、内見にも来てくれない」と嘆いている売主もあとを絶たないのが不動産業界の実状となっています。
売主が不動産を売却したい主な理由として「現金化して別のことに使いたい」が挙げられます。とくにライフステージの変化に伴う住み替え目的の売却が多く、住み替え先や新しい生活のための準備にお金が必要なため、できるだけ早くなおかつ高く売りたい意向です。不動産が売却できないことには新しい生活がスタートできず、日々焦る気持ちが募っていくのも無理のない話です。
「これから子どもたちも大きくなるし、広い家に住み替えたいから、今持っている家を売ろう」と売却を決めたある売主がいたとします。売主は希望の条件を満たした住み替え先を買うため、現在所有している不動産をできるだけ高値で売りたいと考えていて、市場も味方をしているので、当初はすぐに買い手がつくだろうという腹積もりでした。