不動産価格は右肩上がりで推移しており、空前の「売り手市場」となっています。そうであるにもかかわらず、なかなか買い手が見つからない、値引きを提案される、といった事態があとを絶ちません。不本意な売却の提案に応じると、後悔するだけでなく、その後の人生設計にまで悪影響を受けてしまうこともあります。
不動産が思うように売れず悩む売主たち
不動産需要は年々増す一方のいわば売り手市場ともいえ、売却を検討している不動産所有者にとってはこれ以上ない売却機会となっています。国土交通省が公表している不動産価格指数(令和4年3月版)によれば、2010年以降の不動産価格はほぼ右肩上がりで推移しています。2010年を基準とすると戸建て住宅はおよそ1.1倍、マンションに至っては1.8倍に迫る勢いです。
土地建物を探している方の多くが「もっと前に買っておけばよかった」と後悔するほどの、異常な需要過多を築いているのが現在の不動産取引市場です。
それにもかかわらず、「不動産屋に売却依頼したのに、まったく売れる気配がない」「買い手候補から申し込みがなく、内見にも来てくれない」と嘆いている売主もあとを絶たないのが不動産業界の実状となっています。
売主が不動産を売却したい主な理由として「現金化して別のことに使いたい」が挙げられます。とくにライフステージの変化に伴う住み替え目的の売却が多く、住み替え先や新しい生活のための準備にお金が必要なため、できるだけ早くなおかつ高く売りたい意向です。不動産が売却できないことには新しい生活がスタートできず、日々焦る気持ちが募っていくのも無理のない話です。
「これから子どもたちも大きくなるし、広い家に住み替えたいから、今持っている家を売ろう」と売却を決めたある売主がいたとします。売主は希望の条件を満たした住み替え先を買うため、現在所有している不動産をできるだけ高値で売りたいと考えていて、市場も味方をしているので、当初はすぐに買い手がつくだろうという腹積もりでした。
さくら事務所 代表取締役社長
らくだ不動産株式会社 代表取締役社長
だいち災害リスク研究所 副所長
大西 倫加(おおにしのりか)広告・マーケティング会社などを経て、2003年さくら事務所参画。同社で広報室を立ち上げ、マーケティングPR全般を行う。2011年取締役に就任し、経営企画を担当。2013年1月に代表取締役就任。2008年にはNPO法人 日本ホームインスペクターズ協会の設立から携わり、同協会理事に就任。10年間理事を務め、2019年に退任。2018年、らくだ不動産株式会社設立。代表取締役社長就任。2021年、だいち災害リスク研究所設立。副所長就任。不動産・建築業界を専門とするPRコンサルティングも行っており、執筆協力・出版や講演多数。
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連載悩める売主を救う「不動産エージェント」という選択
さくら事務所 会長
らくだ不動産 顧問
1967年東京都生まれ。不動産コンサルタント。さくら事務所会長。NPO法人日本ホームインスペクターズ協会初代理事長。1999年、不動産コンサルティング会社「さくら事務所」を創業する。著作に『バブル再び 日経平均株価が4万円を超える日』、『マンションバブル41の落とし穴』(小学館新書)など多数。
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